サラと学園長の準備
サラはバリアスに護衛されながら、無事学園長室に着いた。
「ではこちらで少々お待ちください。私は部屋の外におりますので何かあればお呼びください。では失礼します」
そう言ってバリアスは部屋を出た。
学園長室はとても綺麗な部屋だった。
白と金色をベースとした豪華な広い部屋。
特別な来客用のふかふかのソファと、綺麗に磨かれた木のローテーブル。
少し離れた壁には、ピカピカに磨かれたティーセットがずらりと並んだ食器棚。
学園長室というのもあり、執務机も置かれており机の上は綺麗に整理整頓されていた。
だが机の隣には、この部屋には似合わないような大きい机が置かれてあった。その机の上には、今にも倒れそうな紙などの資料のようなものが山積みになっていた。
サラは資料の山を見て『あら』と思ったが、サラにとってはとても懐かしい部屋だったため、少し心がくすぐったかった。
「ごめんなさい、待たせましたね。サラ」
と言いながらマジックソードアカデミーの学園長『リリア・ガーネット』が部屋に入って来た。
「いえ。それにしても、来るのが早かったですね」
とサラが少し驚きながらそう言うとリリアは食い付きながら、
「そりぁ夜中に、
『話があるから朝、学園に行かせてもらうわ。色々と学園の見学やお話させてね!リリアに会えるの楽しみにしているわ』
なんて連絡を数時間前にされたんですよ!
緊張するし、あなたの朝は早いからいつ来るかと不安すぎて、安心して寝れないから、いつ来てもいいように寝ずに準備していたのよ」
と聞いてサラはちょっと悪いことしたな。と思った。
「それは大変申し訳なかったわね。でも、ハントとかいう人があなたを呼びに行ってから、ここにくる時間も早くない?」
「ああそれは、ハントに止めろと言ってる猛ダッシュで私のところに来てサラが来たことを知ったから、テレポートでこの部屋まで来たのよ。私の部屋と学園長室はテレポート部屋があるでしょ」
「ああ、そういえばそんな部屋作ったわね」
そんな会話をしているとコンコンとドアからノック音が聞こえた。
「お話中失礼します。お茶をお持ちしました」
「入ってきて」
リリアがそう言うと、一人のメイドのような女の人が入ってきた。彼女はあたたかい紅茶を持ってきて、サラの目の前にあるローテーブルに出してくれた。サラは紅茶を口にした。
「うん、とても美味しいわね。淹れ方がいいわ。あなたが淹れたの?」
とサラが言うと彼女は、一瞬すごい笑顔を見せたが我に戻ったのか無表情で、
「さようでございます。サラ・ミッチェル様にお褒めいただけるなんて、恐悦至極でございます」
と頭を下げながらそう言った。
「あなたそんなに、サラに褒めてもらうの嬉しいのね」
「もちろんでございます。ミッチェル様に褒められて嬉しくない者など、この世にはいないと思いますよ」
「そうかしら」
とサラが言うと、
『そりゃそうでしょ』
『もちろんでございます』
とリリアとメイドの声が被った。サラは微笑みながらクスッと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます