決着の次の日

次の日の朝、アンが眠りから覚めると、いつもの美味しい匂いがした。


アンは、重たい体をなんとか起こし台所に行くと、おばあちゃんが朝食を作っていた。


「おばあちゃん、おはよう」

「ああ、アンおはよう。よく眠れたかい」

「よく眠れたと思う?」

「ははは」


そう会話して、いつもとは少し違う朝を迎えた。


「はい、朝食。お昼ご飯と夜ご飯はそこに置いてあるから、温めて食べるんだよ」

「おばあちゃん、どこか行くの?」


アンは、朝から朝食だけではなく昼食と晩ご飯が用意されているのと、いつもとは違いすごく地味ではあるが、どこかの貴婦人みたいな装いをしているおばあちゃんを見て、不思議に思いそう訊いた。


「ああ。ちょっと、行かないと行けないところがあってね。帰ってくるのが夜遅くになるから、先に寝ているんだよ。家のことは任せたよ、アン」

「わかった。でも早く帰ってきてね」

「もちろん。何かあったらおばあちゃんに、すぐ魔法で知らせるんだよ。わかったかい」

「うん」


おばあちゃんは全身を綺麗に包めるほどの、フードの付いた黒いマントを纏い、


「それじゃあ早速、行ってくるよ」


と言って、扉を開けた。


「いってらっしゃい」


アンは少し微笑みながらそう言って、まだ太陽の昇っていないほんのり明るい空の下、おばあちゃんを送り出した。


アンは一人になると、そういえば留守番するのは初めてだ。ということに気がついた。


今まで、畑などの家の近く以外で外に出る時は、大体おばあちゃんと一緒にいた。


そのため一人で留守番するのも、一人で長時間過ごすのもほぼ初めてだった。


あっさりおばあちゃんは家を後にしたが、とりあえずアンはさっさと朝食を済ませ、畑仕事などの毎日の日課をすることにした。

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