第3話

 身長164cm、体重が65kgと普通の体重だった。しいて言うなら筋肉が普通の女子より多いので割と重いといわれてしまった。

 まぁ、想定内ですけどね。

 最後は魔力検査のみとなる。私は白杖さんと一緒に列に並ぶ。


「次の方」

「白杖さん、あなたですよ」

「あっ、うん! どんな結果になるかなぁー! 楽しみー!」

「水晶に手をかざせ。これで魔力量、魔力の属性、スキルの有無を調べる。魔力の属性については知っているだろう? 基礎知識だ」


 魔力の属性。

 人間は魔力を持っており、決まった魔力の属性がある。基本的には5つあり、火、水、風、雷、土の五種類。

 例外として、ごくまれに闇と光属性もいるが、それは例外中の例外なので基本属性とは言わないらしい。

 魔力の属性は基本的に一人一つまで。たまに複数の属性を持つ人がいるが、二つ持っている時点で天才といわれるレベルの才能だ。


「もちろんです! じゃ、いきまーす!」


 白杖さんは水晶に手をかざした。

 すると、水晶玉が光を放ち始める。目を開けてられないくらいまぶしい光。私は思わず目を閉じた。

 光は10秒ほど放たれて、ようやく収まる。検査していた先生もものすごく驚いていた。


「なんだ今の現象は……! 見たことがないぞ! これはもしや天才……いや、それ以上の……」


 と、先生が水晶を確認すると。


「な、なんだと!? こんなのがいるのか!?」

「どおでした?」

「君……」


 先生は白杖さんの肩に手を置いた。


「先祖に大賢者とかいたりするか?」

「え? いないと思いますけど……」

「出身家庭は?」

「え、普通の一般家庭ですけど……。父はサラリーマンで母は専業主婦っていうごくありふれた……」

「その出身でここまでの……! 君、魔法学に興味はないか? 君なら喜んで入部させよう」

「え、ええ!?」

「白杖さん。水原先生は魔法学の権威ですよ。魔法学研究部は彼女が選んだ天才しか入れないんです。よかったですね」

「え、入ること決定ですか!? どんな結果だったんですか!?」

「結果はこうだ!」


 先生が結果を紙に書き記し、見せつけていた。

 私も一緒に見てみると、これは化け物だとすぐに理解できる。というのも、全属性の魔法が使え、魔力量がとてつもない。そして、スキルがあり光というスキル。

 光の効果は魔法効果の倍増、受ける魔法攻撃の減少と魔法に関してはめっぽう強いスキルの内容。

 これはさすがに……。


「な、なんかの間違いでは?」

「この器具は間違いなど起こさない。これが結果なのだ」

「え、ええ!?」

「この数値、このスキル、この属性……。すべてが異質だ! 素晴らしい! このような超天才が今年入学していただと!? 入学させた試験官は見る目がある!」

「え、ええ……」

「ぜひ! 入部を検討してくれたまえ。次は黒刄、貴様だな?」

「え、ええ。こんな結果の後に私がやるのは申し訳ないんですが……」

「大丈夫だ。黒刃は剣術に関してはすごいから魔力量が少なくとも剣術でカバーできるだろう」


 慰めてくれていた。

 さすがにあの結果の後じゃ誰もが陳腐に見えてしまうのだろうから。


 私は水晶に手をかざす。


「ほうほう、魔力の属性は雷、魔力量は平均より少ない、スキルは影というスキルだな。お前もスキル持ちか」

「あ、スキルあるんですか?」

「ああ、影の中に潜ることができる、実体を影にすることができるらしい。スキル学はほかの先生から教わるだろうから言うことはないがな。次!」


 スキルはあるようだ。スキルは限られた人間しか持てないもの。何気にちょっと嬉しい。

 スキルが影、影に潜れて実体を影にすることができる、か。スキルというのは人智を超えた力っていうのは本当なんだろうな。


「これですべての検査が終了ですね」

「ほへぇ……」

「白杖さん。自分の結果に驚きすぎです」

「だってあんなすごいこと言われたんだよ!? 私自身が!? めっちゃ落ちこぼれだったのに中学時代まで……」

「落ちこぼれ?」

「あ、いや、こっちの話! ささ、教室に戻ろっか!」


 白杖さんは私の手を引いて教室まで行ったのだった。








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