月夜は冷たく嘲笑う
鳩胸ぽっぽ
第1話
ある日世界に突然魔物が現れた。
それと同時に、人類は進化を迎えた。魔力と呼ばれるものが各々に顕現し、ごく一部のものにスキルと呼ばれる能力が与えられ、人類はなんとか魔物から身を守ることが出来るように。
そして、魔物が現れ百年が経過すると、人類も魔物がいることに慣れ、戦闘を教える学校も建設され始めていた。
中でも、私が通う私立仙神学園は世界有数の戦闘学校であり、通うことすらステータスとなるくらい難しいところ。
ここを卒業できたら成功を約束されるとも言われており、入学したい人は世界各地から集まって倍率も凄いのだとか。
「
「ありがとうございます」
黒刄 夜宵というのは私の本名である。
私は愛刀を片手に試験官の横を通り過ぎる。
「すげえ……。実技を一発合格だ……」
「黒刄家っていやぁ……。剣術の最大流派じゃねえか! あれがその娘……?」
「あれは絶対十将入りするだろう。賭けてもいい」
合格者は試験官から教室の紙をもらい、教室に向かえと言われていた。
私は教室に向かうと数人の生徒が先に座っていた。私の受験番号は真ん中くらいだったし、他の試験官の先生もいるから先に合格者が出ていてもおかしくはない。
席は合格者から適当に好きな場所を選んでよいらしく、私は教団の前の席に座る。
「君も合格者?」
「はい。ここに来ている人は全員そうなのでは?」
「だよねー! いやぁ、受かると思ってなかったよー。私あまり強くないし、ダメ元で受けたんだけど!」
「ダメ元で合格するということは才能があると思いますよ」
「そお? えへへ。嬉しいな。あ、名前なんて言うの? 私は
「私は黒刄 夜宵です。魔法はあまり得意ではないです」
「そうなんだ! 私たちいいコンビになれそうだね! 近接と遠距離だし!」
「コンビ組む予定なんですか?」
「え、嫌だった?」
「いえ……。私たちは今初めて会ったばかりなので……」
「それもそっか! お互いのことよく知らないもんね!」
この白杖さんはものすごくグイグイ来る子だ。私とまるで真反対の性格をしている。
白杖さんと話しているといつのまにか試験合格者の人たちがゾロゾロと教室内に入ってきていた。
そして、全部の席が埋まり、先生が前の扉から入ってくる。
「皆さん、おめでとうございますぅ〜。無事、試験を合格できたみたいですねぇ〜。
さてと。あ、自己紹介してませんね。僕は皆様方の担任になった|波照間(はてるま) |湊人(みなと)と言います。よろしくお願いしますねぇ。
これからの学園生活、キツイことも厳しいことも辛いこともあるかもしれませんが、共に頑張っていきましょお! えいえいおー!」
「えいおー!」
「元気良いですね。まずは皆様の名前を皆さんに教えてあげてください。廊下側の席の方から行きましょう」
「ってことは俺だな」
そう言って筋肉隆々の男が立ち上がる。
各々が自己紹介していき、私の番になった。
「私の名前は黒刄 夜宵と申します。武器はこの刀。名前は黒刀"新月"。よろしくお願いします」
「黒刄家……ということは黒刄流の娘さんですかぁ?」
「はい。私の家は黒刄流という剣術の流派です」
「そりゃすごい! 先生も黒刄さんの試験をしたかったなぁー。あ、ごめんね。次の人いいよぉ」
自己紹介が進んでいき、最後の人が話し終える。
「さて、じゃ、まずは入学式ですね。試験の直後で疲れていると思うので、入学式は簡素ですよー。あともう一息! 入学式が終わった後はそれぞれ寮の部屋決めですからねぇ」
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