第9話
仙神学園での生活も慣れてきた5月。
一年生では、大きな授業がある。
「宿泊研修……もとい、サバイバル訓練が今週の水曜から日曜までありまぁす。そのための班決めをしましょー。もちろん、籠る場所には魔物が出ますのでー、各々の武器を忘れないでくださいねー。では班決めしましょーか」
サバイバル訓練。
魔物がいる山や海らへんなどに生徒たちを送り、生徒たちだけで五日間過ごす行事だという。
食料供給も、魔物討伐の手助けも基本的にはなし。生徒自身の力で解決することが必須となる。
「黒刄ちゃーん! 一緒の班になろ!」
「いいですよ」
私はとりあえず白杖さんと組むことになった。
ただ、1班五人必要なのであと三人必要となる。すると、先生が私に注意事項を言ってきた。
「あ、黒刄さんは十将入りということで参加不参加は自由でぇす。ただ、参加する場合は班は組まず、ソロでやってもらいまぁす」
「え」
「十将入りするような子が一緒だとなんも成長しませんからねぇ。ソロか不参加か。どちらかでぇす」
ということだった。
授業免除ということはこういうのも免除されるのか。それに、参加する場合はソロ……。
「どちらかではありませんでしたぁ。先生方と一緒に生徒を見守るという選択肢もありまぁす。生徒自身に命の危機が迫った場合のみ、手を貸すということでぇす」
「……じゃあそれで」
「わかりましたぁ。では、29人で……1班7名にしましょう。1班7名で余った1人はどこか一つの班に入れさせてもらってくださいねぇ。では、班決め開始!」
そういって、みんなは班を作り始めた。
白杖さんは少し不満そうだったが、白杖さんの友達に声をかけられそこに参加するようだった。
白杖さんは交友関係が広いな……。私と違って。彼女はとても明るいから人気者なんだろうな。
そして、班決めが終わり、訓練の行き先の説明と、注意事項を説明することになった。
訓練の行き先は学園が保有する無人島。無人島を三分割し、それぞれのエリアを三班に割り振る。
そのエリアから出てもいいが、ほかの班と協力するのはNG。先生と私はいつでも助けられるよう近くに控えてはいるが、極力手出しはしない。
食料を盗む行為など、犯罪はダメ。
などなどいろんな注意事項がある。
「持ってくものは行く時までに用意しておいてくださいねぇ。何をもっていくかは自由ですよ。食料だったり娯楽用品だったり。自分自身で必要なものを選別し持ってきてください。特に制限は設けません」
ということ。
何事も準備して向かうものだから準備して食料などを持っていくのはOKらしい。ただ、食料だけをもっていけばいいというわけではなさそうだが……。
「この授業は、毎年、命を落とす生徒もいるぐらいには過酷になります。くれぐれも、注意を怠らないようお願いしますねぇ。先生方も極力注意はしますが……。悪ふざけする輩は先生が殺しますから。そのおつもりで」
と、先生が生徒たちをにらみつける。
その視線が生徒たちを凍り付かせた。
「ま、命がかかっているので必死に、生き延びてくださいね。なるべく先生たちも人死にを出さないよう努力はいたしますけど」
「はい……」
「……不参加ということはできませんか?」
「できません。ここは戦闘学校です。魔物と戦うのに、命を懸けないのですか? 魔物に参ったが通じますか? 戦うものはすべて命がけです。不参加する場合は十将入りするほどの実力を見せるか、退学するしかありません」
誰もかれもが恐怖しているようだ。
命をいきなりかけろと言われているんだ。仕方ないというのもあるけれど……。戦闘学校に来たからにはそんな覚悟するのは当たり前のことだ。
「では、説明終わりです。宿泊研修、頑張りましょうね」
そういって、教室の扉を開けて先生は出ていったのだった。
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