第7話
入学して三日目にして十将入りした私は大きな話題になった。
学校に向かうとひそひそと遠巻きに話し声が聞こえる。私はそのまま教室には向かわず、十将が集まる専用の会議室に向かっていった。
というのも、今日の一時限目が始まる時間に専用の会議室に来いという紙が扉に挟まっていた。また侵入して差し込んだのだろう。
私はふぅ、と息を吐き、扉をノックする。
「黒刃です」
「ああ、入れ」
私は扉を開けると、中には十個の座席があり、一つだけ席が空いて他は全部埋まっていた。
そこの空いている席に座れと言われる。私は椅子に座ると、明かりがついた。
「やぁ、昨日はごめんねー?」
「昨日はご迷惑をおかけしました」
昨日お見かけした先輩もいた。
あたりまえか。十将と自分で名乗っていたのだからいるのは当然だろう。ほかは知らない人だけれど……。いや、赤王さんがいる。
赤王さんは私たちより豪勢な椅子に座っていた。私たちは普通の木の椅子なのだが、赤王さんは金でできた椅子に、銀でできた椅子に座ってる人がいて、銅の席には黄辻さんが座っている。黄辻さんの隣だった私は。
「納得いかねえな。俺より上だと? そんな一年坊が?」
「いくら赤王様の見立てとはいえ……。そこまで実力はありますか? たしかに黒刄家は有名ですが」
「納得いかないのもわかるけど一応新顔なんだから自己紹介しようね。僕は十将第二将、
「第三将! 黄辻 澪!」
「私は昨日あいさつしたかと思いますがもう一度。紫電 笹太郎と申します」
「……第六将、
「第七将の
「第八の将! 僕ちんは
「第九……。
「第十将! 茶原 響!」
ちょっとだけ濃そうなメンツだ。
私も一応自己紹介しておく。
「黒刄 夜宵です。よろしくお願いします」
「よろしくするつもりはねーよ。ったく、こんなひょろっちい女が俺より上なわけねえだろ……」
「ならば戦ってみたらどうだ? 俺の見立てでは紫電より強い」
「それしかねえな。負けたら降格。それでいいだろ?」
「ああ。いいだろう」
「来いよ、黒刄。叩きのめしてやる」
そういって、私は先輩についていくまま決闘広場というところに案内された。
ここでは常に保健医の先生がいるらしい。保健医の先生は複数いるようで、今回は剣術の授業とは違う人。
「真剣で構わねえ。こいや」
「では」
私は刀を引き抜いた。
そして、素早く距離を詰める。先輩はどうやら槍を使うようだ。槍で心臓あたりを貫こうとしてきたので柄ではじく。
そのまま流れを利用し、本気で切りつけると躱され、今度は下から槍が飛んできたので左手で鞘を取り出し灰島先輩の顎に一撃を加える。
「剣士じゃねえのかよ……!」
「鞘も武器です」
「そうかい!」
一度距離を取る。
「ふぅ……」
「なんだ? 戦闘中に一息つくたぁなめられたもんだなァ!」
「先輩、もうKOします」
「あァん?」
私は腕に全力で力を籠める。
そして、一気に振りかぶった。すると、刀から斬撃が飛んだ。飛ぶ斬撃を見たのは初めてのようで、先輩は動揺し、固まっていた。
「なっ……!」
「まずは1KO……」
これは集中しないと使えない。だからこそ一息ついた。
斬撃をもろに受けた先輩は制服が破れ、ドクドクと血が流れて、そのまま意識を失った。
保健医の先生がすぐにかけつけ治療を始める。
「勝負ありだな。これで文句はないだろう?」
「はい。たしかに赤王さんの言う通りの実力。これで一年生とは末恐ろしいですね」
「うっひょー、つえー! 一年の実力じゃないっしょ!」
「私も戦いたかったー! 次私ね!」
「いえ、疲れたのでもう嫌ですけど……」
「えー!」
さすがに連戦はきつい。
灰島先輩はとても強くて集中力を切らせるような相手ではなかったのはたしか。そんな相手が続くのは嫌だし、第三将となるともっと強いだろうに。
「灰島。これでわかっただろ」
「ああ……。あんたの目を疑って悪かったよ。黒刄。悪かったな」
「いえ……。私もなぜ一年で十将入りと疑問を抱いてましたから。元第四将の方はどうしたんですか?」
「あいつは喧嘩して退学! あれはダメよ」
「ちょうど抜けた穴を探してる時に君が現れたんだ!」
「ちょうどよかった……よ。助かる……」
「無事みな納得したことでしょう。十将の責務と権限について黒刄さんに説明が必要不可欠では?」
「笹太郎はせっかちだねぇ」
何とか認めてもらうことができたようだ。ちょっと嬉しい。
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