概要
いまはどんなにつらくても、しあわせはかならずやってくる
終戦後、学校にも行けず母とふたりで貧しい生活を送る少年ジャクロは、ある日父が愛した歌の流れる街で不思議な店を見つける。
金属ゴミとお菓子を交換してくれるその店には、戦争で両脚と声を失った車椅子のマスターと、彼の代わりに話をする金色のロボットがいた。
マスターに帰らぬ父の姿を重ね合わせるジャクロだったが、別れは突然訪れるのだった。
蒸気機関とロボットの世界で、戦争に翻弄された人々を描いた物語。
※若干戦争の描写が含まれるため「暴力描写有り」としています。
金属ゴミとお菓子を交換してくれるその店には、戦争で両脚と声を失った車椅子のマスターと、彼の代わりに話をする金色のロボットがいた。
マスターに帰らぬ父の姿を重ね合わせるジャクロだったが、別れは突然訪れるのだった。
蒸気機関とロボットの世界で、戦争に翻弄された人々を描いた物語。
※若干戦争の描写が含まれるため「暴力描写有り」としています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!戦争の惨禍における被害者と加害者の境界線
この物語は、端的に言ってしまえば、戦争中の不幸がきっかけで不遇な立場に置かれた少年ジャクロと、おそらく傷痍軍人であると思われる車椅子の男”マスター”の絆の物語です。しかし文字の読めないジャクロには”マスター”が何のためにジャクロの相手をしているのかがわかりません。物語の全貌は数年後ジャクロが”マスター”からの手紙を読めるようになってから初めて明かされます。
ジャクロが住んでいる国はどうやら戦争に勝ったようです。しかし、戦争は勝者の側にも禍根を残します。
”マスター”がなぜ傷を負ったのかを知った時、読者は生き残った”マスター”の人生について思いを馳せることでしょう。
生きることは素晴らしいこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!しあわせを願い願われた少年の物語
いまはどんなにつらくても
しあわせはかならずやってくる
そんな古い流行歌とは裏腹に、上向く様子の微塵もないジャクロ少年の暮らしぶりが序盤から描写される。
けれどジャクロ少年はこの歌が好きだ。そのことが彼を、そしてこの話を、物語り、導いているように思える。
愛嬌のあるロボットたちが登場するスチームパンク風の街を舞台に、ジャクロ少年は不思議な出会いとあたたかな時間を得る。そこから始まる一連の出来事を語る「少年時代」、とある人物から託された「手紙」、そして「十年後」と、構成の妙が生きる。
しあわせはかならずやってくる
そう。彼は、そして彼らは、そのために自ら歩き続けたのだから。