極めて現代的な一作。

毒ガスが世界を覆い、人々はシェルターに籠っている世界の話です。これは世界的なパンデミックである現在の世界とも重なる、極めて現代的な設定でした。そうした読みかえができる器の大きい作品で、かつ物語に派手なことが起こっていないことも印象が良かったです。あるのは生きることや死ぬことであり、その儚さと、主人公が絵を描くことというシンプルな動機が胸に迫ります。出会った少年と大人の奇妙な共同生活は、いまも世界のどこかで起こっている事実の投影かもしれません。

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