概要
僕はパレットを持った手を伸ばした。
毒の霧を吸い込むと死ぬ。文明の失われた未来で生きる人間は、霧の入り込まないシェルターで暮らす。
ロウは絵描きだ。昔の写真を模写して仲介屋のダグに金にしてもらい、ひとりで生活している。
晩に霧が発生し始めた初冬の朝、備蓄を届けに来たダグの荷台には食糧と新しいカンヴァスと子どもが乗っていた。その子ども――エトとロウは彼のシェルターでひと冬過ごすことになる。
ロビベルβ小説大賞参加作。
2枚絵のお題小説です。
ロビベルβ小説大賞の詳細はこちら▼
https://twitter.com/velno_yomi/status/1576142353974206464?s=20&t=3_VQ_WyGsLe90zEl8Wpm2Q
ロウは絵描きだ。昔の写真を模写して仲介屋のダグに金にしてもらい、ひとりで生活している。
晩に霧が発生し始めた初冬の朝、備蓄を届けに来たダグの荷台には食糧と新しいカンヴァスと子どもが乗っていた。その子ども――エトとロウは彼のシェルターでひと冬過ごすことになる。
ロビベルβ小説大賞参加作。
2枚絵のお題小説です。
ロビベルβ小説大賞の詳細はこちら▼
https://twitter.com/velno_yomi/status/1576142353974206464?s=20&t=3_VQ_WyGsLe90zEl8Wpm2Q
いつもありがとうございます(´;ω;`)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!乾いた世界に息づく生身。存在の臭いと陰影。人の業の意味。
毒を含んだ霧の立つ世界、シェルターの中で暮らす人々の物語です。
主人公は、過去の遺産である写真をもとに、依頼者の望み通りの絵を描くことを生業とする青年。彼が一人の子供に出会うところから物語が動き始めます。
本作、背景世界の描写精度がとにかく凄いの一言です。
立ちこめる臭いや生理現象、空気感や光のシルエット。万物の描写が、乾いた世界の中の暮らしに実感を与えてくれています。
5000字と少々のシンプルな短編ではありますが、中に息づく濃密な感情のうねりを感じます。それを生み出しているのはまちがいなく、「生の臭い」ともいうべき鮮烈な手触りではないかと思います。
※※ 以下は純粋にレビュー者の妄想…続きを読む - ★★★ Excellent!!!たとえ文明が滅んだ世界でも、この絵だけは色褪せたりしない。
突如として、毒を持った霧が発生するようになり、生き残った人間は地下シェルターで暮らすことになった。主人公は、そんなシェルターで絵を描く仕事をしている一人の青年だ。文明崩壊と共に擦り切れ、色褪せていく写真を基に、半裸の女性ばかりを描いていた。
そんな主人公のもとに、食料などの必要な物資を運ぶ男が現れ、荷物を置いていった。しかし、運び込まれたのは必要品だけではなく、子供が一人取り残されていた。主人公は子供が嫌いだった。
霧のない内に、子供を返そうとする主人公だったが、その子供が捨てられ、霧の中で見つかったことが判明する。主人公は、子供をどこに捨てようか迷ってしまうのだが……。
霧の発…続きを読む