人類を卵の形で孵せるようにした未来

引用「私の目の前に広がる水槽――――通称「退化の海」――――を泳ぐ魚は、将来の働き手なのだ。」

人間を増やす背景、社会像が良く書けている。構成がいいのだろう、結末にキレ味を感じた。一方でSFならば人間を卵の形に孵す上手い嘘が必要だ。それは科学的である必要は全くないが、SFを意識したリアリティラインを考えたいところである。

作者の他の作品も拝読したが人間が異形へと変わるというお話に好みを見出しているように感じた。
SFの怪奇性に気づいている点で評価したい。