「さぁ、ご主人様…どうやら今回も戦争のようですよ?」「しくしく(泣)」
「戦争戦争って……もうやだっ、国出てトンズラしてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
四つの大国に囲まれた弱小国家。
そのウルミーア王国の第二王子であるアレン・ウルミーアは嘆いていた。
「俺は王子だぞ!? なのにどうして戦場のど真ん中で愉快なダンスなんか踊ってんだよ!?」
弱小国家であるが故に、大国に囲まれているが故に幾度ともなく他国から攻められる日々。
しかし、最近では新しく軍のトップに座ったアレンのおかげで、他国との戦争に勝ち続けていた。
「ご安心ください。ご主人様は英雄と呼ばれる、魔法を極めた魔術師……そこいらの有象無象では相手になりません」
「命の危険があるってことには変わりありませんよねぇ!?」
アレンは遊び盛りな青年。
戦争なんかしてないで、女の子とキャッキャウフフしながら平和な生活を送りたい。
それでも、他国は関係なく戦争を始めていく。
帝国の皇女、神聖国の聖女、魔法国家の賢者、連邦の第一席。
それぞれが様々な思惑を抱えて───
「さぁ、今回もどうやら戦争のようですよ……ご主人様?」
「ファァァァァァァァァァァァァック!!!」
───これは、弱小国家の第二王子が平和な日常を望みながらも、国を守るために拳を握るお話。
英雄と呼ばれる男が歩む、歴史に名を刻む物語である。
「さっさとこの戦争を終わらせるぞ。こっちには、帰る家がある奴がいるんだから」
「かしこまりました、ご主人様」