王族、聖女、貴族。正体がバレた瞬間に「助けてもらった」と押し寄せてくる
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「正体がバレちゃたんだけどもぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!???」
『影の英雄』と呼ばれる男がいた。
突然現れては、颯爽と誰かの危機を救っていく。
救われた人間は数多く、人々の注目を浴びる存在であった。
しかし、その正体は誰も知らない。
知らないのだが───
「どうして俺の正体がバレたんだ!?」
「酒に酔ったお馬鹿さんが吹聴したからじゃないかしら?」
「身に覚えがある気がするがスルーしておこう……ッ!」
ある日、少しのドジで正体がバレてしまったのだ。
『影の英雄』は多くの人々から慕われているせいか、噂は瞬く間に広がっていき、あっという間に知れ渡ってしまう。
『影の英雄』と呼ばれる男───伯爵家嫡男であるフィル。
遊んでばかりのクズ息子……それが、フィルに対する周囲の印象だった。
しかし、それが今回の一件によって全てが変わってしまう。
フィルの元には、今まで助けた人々が押し寄せてくるようになり、その中には聖女や王族、貴族など数々の重鎮の姿も含まれていて───
「……ねぇ、今更「うっそでーす❤」って言ったら信じてくれるかな?」
「信じてくれるかは分からないけど……とりあえず、先に陛下に言ってみたら? ちょうど登城命令きてるし」
「行きたくねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
───これは『影の英雄』と呼ばれた貴族の男の、正体がバレたことから始まる物語。
そして、バレてもなお……人々を救い続ける男の話である。
「……どこ行くの?」
「どこって───いつも通り人助けだよ。バレても、結局やることは変わんねぇさ」