第14話 金の天使〜Gold Angel〜

「きゃあああっ!」




   ピチャ……


         ペチョ……



   ピチョ……





「顔くれーーーっ!」


「目をくれーーーーっ!」


「体をよこせーーーっ!」



「こ、来ないで…!い、いやあぁぁぁーーっ!」



「手をくれーーーーっ!」


「足をよこせーーーーっ!」





私は闇の中、不気味な生態や声に追われ逃げ惑う私。




✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕



「さあ、行くが良い。天使だったのなら人の幸福の為に闘うのだ」




俺は下界へ降り立つのだった。




「あんたと結婚するんじゃなかったっ!」

「あー、だったら離婚だ!離……」





キラキラ……


空から舞い降る金色の輝き。




「結婚は良いものだぜ。仲良くしな」




雪那が上空を飛ぶと


不幸が幸福になる


金色の翼をした生態


金色の天使―――Gold Angel――――




そして 今


暗黒の闇が


幸福の街に


変化する


幸せの扉


小さな幸せも


大きい幸せに変わっていく――――





「妙な奴が現れたぞ!」と、堕天使。


「暗黒の闇を変えてしまっているのは、あなた!?」



悪魔が言った。




「これは、これは、堕天使と悪魔の御二方」

「テメー、誰だ?」




「通りすがりの者…なーんて…ありえねーけど、あんたのもう一人の魂って…所かな?」」 




「………………………」




「天使として、生命(いのち)を絶った、もう一人の俺。堕天使の中に存在していた…好き放題…やり放題…俺は…あんた達を許さねー」





✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




ブワッ



「…風…?」

「…さあ…来るんだ!お嬢さん…」

「誰…?」

「さあ…いらっしゃい……死の…世界へ……」



「いやあぁぁぁーーっ!!」




バサッ…



バサッ…




「……翼……?」

「俺の女に手を出すなーーーっ!!」




ドキン…


何処からか声が聞こえる。



「誰…?」

「しっかり捕まってろ!悠漓っ!」



フワリと宙を浮くように体が浮いた。



「…雪那…?どうし…」

「事情は後だ」

「…うん…」



私達を死界から出ようとする。





ガクッ


下から足を掴まれバランスを崩す。



「きゃあっ!」

「二人共、急ぐんだ!」

「ジジイこそ、見てねーで手伝えっつーの!」

「ジジイだ?そのまま地獄へ堕ちろ!」

「ムカつく!」



グイッ


「…雪那…」

「…仕方ねーな…」

「えっ…?…雪那…?」

「ジジイ…悠漓を頼む…」

「…雪…那…?」




バサッ

最後の力を振り絞るように、私を神様みたいな仙人の元へ預けた。



ブワッ


スッ




突風が吹き、雪那の姿が地獄へ引き摺り込まれる。





「雪那ーーーーっ!!」



私は飛び込もうとする。



グイッ



「よ、よせっ!」


「い、いやっ!離してっ!助けてくれたのに、どうして犠牲になんなきゃならないわけ!?」



ドンッ

神様みたいな仙人を押し飛ばす。



「雪那っ!」



埋もれていく雪那の姿。



「…雪那っ!雪那ーーーっ!」




ガシッ


雪那の手を掴むも、徐々に下に埋もれていく。




「…お願い……雪那…を連れて行かないで!連れて行くなら…私も一緒に連れて行って…」



私はキスをする。




パアーーっと金色の光が放たれる。




「…漓……?…どう…」


「雪那が好きだから…一緒に…いたいの…ありがとう…それを言いたかった」


「…お前…バカ…?」




私達はゆっくりと埋もれていくのだった。

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