第12話 散りゆく者

ある日の放課後――――




「悠漓」 

「…雪那…」

「どうしたの?最近、浮かない顔してるけど」


「堕天使のあなたと…悪魔の私。要約、終わりに近付いた時…二人の協力で私達の存在が消え始めてる…堕天使のあなたと悪魔の私で再会した時…私を迷わず抹消する」



「…悠漓…」


「水城悠漓を殺して…もう…嫌なの…私…死ぬのを恐れるのは嫌なの…!!」


「…悠漓…だったら…天使の俺も抹消して…」

「えっ…?」


「君と過ごせた事が俺にとって…何よりの幸せだったから…君のいない人生なんて面白味も何もない…」


「…雪那…」




バサッ


天使の翼を出す雪那。



「雪…」




バサッ


私の前に来る雪那。


スッと片頬に触れる。




ドキン


キスをする雪那。




「人間は儚い者だけど人を愛する想いは世界一……いや…宇宙一、幸せになれる人間。例え憎悪があっても…胸の痛みを、唯一、理解(わか)ってあげれるはずだ」



「雪那…」


「涙を流す…その行為が哀しみを印される証。笑顔で笑っていられるのも、楽しいとか嬉しいとか、そういう感情があるから」


「そう…だね…」




その日の夜――――――





「…人…悠…漓…?」




バサッ… バサッ… グイッ


私は人間の姿の悪魔として、堕天使の雪那に近付き引き止めた。



「…雪…那…?…堕天使…?」

「自ら命を経つ気か…?」



「………………」




「私がいない方が一層、気が楽でしょう?中途半端で面倒くさい生態。だったら死んだ方が良いよ!」


「…悠漓…」




私は自ら堕天使にキスをする。



ドクン




「…さようなら…」




バサッ…



「…悠漓…」



天使の翼が出る。




「…悠漓…悠漓ぃぃぃーーーーっ!!」




スッ



「馬鹿な女」

「…悪魔…」

「あなたは…天使…?」



天使は自ら悪魔の私にキスをした。



「悠漓のいない…人生なんて…考えられない……」




バサッ

天使は堕天使になる。




そして黒い羽と白い羽が仲良く散っていた。

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