第11話 堕天使のイタズラ〜お守りの行方〜

ある日の夜―――――



「悠漓っ!テメー、その変なお守りのせいで天使の生命力(いのち)が、パワーがアップしてんじゃねーかっ!」


「…堕天使…」


「しかも、俺の女の悪魔の生命力までも弱くなってんじゃねーかよっ!」



「………………」



「そのお守り力づくでも絶対奪い取ってやる!いや…壊してやるっ!」




バサッ… バサッ…


そう言い放つと、堕天使は飛び去った。




「…………………」




ある日の夜――――



「この瞬間(とき)じゃなきゃ、行動起こせねーからな。堕天使の姿が無理なら人間の姿で奪っちまえば、こっちのもんだろう?」




ジャラ… ジャラ…


私が眠っている間、行動起こす堕天使の姿。


部屋に訪れた事など知る由もなく。




「よし!これで水城悠漓は消えてなくなってしまう。こんなもん……」




ピシピシ… パリン…



「俺が勝ったようなもんだろう?じゃあな!水城悠漓さん…それから…天使も悠鬼雪那もな。俺は堕天使として、この身体を俺の物にする。そして、悪魔しか存在しなくなる」




バサッ… バサッ… 

私の部屋から飛び去った。





次の日――――




「…羽…?えっ…?まさか…!」



私はお守りのあった場所に目を向ける。




「…嘘…やられた…油断してた…」





「ママっ!!」



バタバタ…



部屋を飛び出し、母親のいるリビングへと向かった。




「何?どうしたの?騒々しいわね」

「お守りが…」

「えっ?」

「お守りが…壊された!」



「………………」



「…ごめん…ママ…私…もう生きられないよね…天使も…彼も……」


「…悠漓…」


「…せっかく…ママが…」




私は涙が溢れる。



「私…駄目な悪魔だよね…」

「…悠漓…大丈夫よ。あなたは、良く頑張ってたわ」

「でも…天使も雪那も救う事が出来ないんだよ…」



「………………」



「…ねえ…悠漓、1つ確認したいんだけど…」

「…何?」

「天使も救えないって…なにか複雑な事情あるの?」


「…堕天使は…天使の生態も存在するの…そして、同じクラスの人間の男の子」


「…つまり…彼の中に…堕天使と天使と人間の彼が存在するって事なの?」



私は、コクリと頷いた。




「…悠漓、堕天使を恨みなさい。心から。お守りが守ってくれてた以上、堕天使のダメージは相当なはず。天使と水城悠漓としてのあなた、そして人間である彼と…堕天使を抹消しなさい!」


「抹消って…そんなの…」


「三人で力を合わせるしかないわ…もし…人間の彼が天使の生態もあるのなら…必ず奇跡が起こるはずよ」


「…ママ…」


「きっと大丈夫!」


「ありがとう」












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