第5話 もう一つの生態

ある日の夜―――――



「…天使に…会いたい…早く人間になりたい……」





悪魔の血を引いている私は


悪魔の心を持つ


人間の心もある


1つの身体に


2つの生態




そして―――




悪魔の姿になる前に


人間としての時間の存在が


すごく大切で


一分一秒が


貴重な時間なのだから――――





私は仮の姿の人間のまま空を飛ぶ。


堕天使である悠鬼君とキスをして、私は人間として空を飛ぶ事が増えた。


危険を伴う事は分かってる。


だけど、悪い出来事が起こっている所に身体が導かれるようになり、更に悪魔の血が騒ぎ出すのだ。


まだまだ、仮であり未熟だけど、たった1回のキスで、これほどまでの能力が開花するのは、この先が怖い。


きっと人間の記憶はキスする度に掻き消されていく





「なあ、その姿でウロついてると、小悪魔に見付かるんじゃねーの?」




ビクッ

振り返る私。




「…堕天…使…?」

「誰をお探しですか?悪魔の水城悠漓さん」



「…………………」




「目的は天使」




「………………」



「図星…なあ、この際さー、悪魔になっちまえよ!所詮、淋しくて面白みのない人生だろう?あんた」


「人の唇を奪ったあんたに言われたくない!」


「でも、その、お陰で、そういう存在になれたんだろ?逆に感謝してほしいけどな」




背を向け、去り始める。




「天使はいないぜ」

「あっそ!とにかく構わないで」





私は去り始める。



グイッと腕を掴まれ、引き止められ振り返らせるとキスをしようとした。




「や、辞め…いやぁぁーーっ!!」




バチバチバチ…


光を放つ。




「あら…?あなた…もしかして…堕天使…?」



悪魔の私が現れた。



「…あんた…悪魔の姿。じゃあ、人間の彼女は?」

「眠ってるわよ」


「へえー、そうなんだ。じゃあ、彼女が俺とキスして、仮の姿から進化してる事は、あんた知ってんの?」


「あー…知らないわけじゃないわよ。だって、力(パワー)がアップしてるもの。気付かないわけではないわ」


「じゃあ…この際、今の状態から、堕天使である俺とキスしとく?」


「良いわよ」



悪魔の私は、堕天使である、悠鬼君の首に手を廻した。



「良いね!彼女とは違う大胆さ。俺のタイプ」

「あら?嬉しい、お言葉」



二人はキスをしようと密着し始める。


しかし、堕天使の彼は、唇に触れる寸前ギリキリの所で止めた。




「なーんて。もう少し、もう一人の君を楽しませてもらうよ」


「残念ね~。じゃあ、いつでも相手してあげるわよ」


「ああ。その言葉嬉しく頂いておくよ。悪魔さん」




堕天使は悪魔のおでこにキスをすると飛び去って行った


















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