第3話 天使と悪魔の存在

「ねえ、ねえ、悠鬼(ゆうき)君ってかカッコイイよね?」


「そうそう。存在感あるし、華やかになるんだよね?」


「だよねー」





彼・悠鬼 雪那(ゆうき ゆきな)君。


クラスでも結構目立っている。


もちろん他の学年からの人気も高い。






ある日の放課後。




「…雨…降りそう…」




そして降り出す雨。




「…雨降りそう…そう言っただけなのに、本当に降り出すなんて運命のイタズラだよなー?」





ビクッ

驚き肩が強張る。


振り返る視線の先には、悠鬼君の姿。



「水城ってさ、天使とか悪魔とか信じる?」

「えっ!?」


「俺は信じる信じないとかの問題よりも、この世に存在するというのが有り得ない現実だと思うんだよねー。…でもさー…本人が自分自身が、そういう奴だったら信じるかも?その存在を。例えば、俺か君が天使や悪魔だとしたら?」





ギクッ




「なーんて、存在しないよなー?そういう生態って。いたらマジ驚くってやつ?」


「そ、そうだね…」





ある日。



「もう離婚よ!!」

「そうだな!」


「クスクス…人の不幸っておもしろーい。本っ当、人間って儚い生き物ね」


「君は人の不幸を喜ぶの?」




ビクッ



「誰です…!?」


「俺は天使。人間(ひと)の味方……人の幸せを望むもの」


「邪魔者ですかっ!?姿を現しなさいっ!」


「天使というものは簡単に姿を現さない。例え君が悪魔だとしても」




スッ


私の前に人影。




フッと私のオデコに片手を翳(かざ)す。





ガクッ



ドサッ




一瞬の出来事だった。


体が崩れ気を失う私。






「…水…城…彼女が…悪魔…?」




顔を近付けてくる。


唇に触れるギリギリの寸前。




「運命のイタズラ……今の俺には…君と唇を交わす事は出来ない…真実の愛。それが…君の運命だから…もちろん…俺の運命でもある」




フワッ


私を抱きかかえ、とある建物の屋上の横に寝かせる。



「君の想いと俺の想いが一つになるまで…See You…」






スッ




バサッ



私の前から姿を消した。





「…あれ…?私…」




そして何かに目が止まる。




「……羽……」



暗闇で色別は出来ない。





これは……


天使?


堕天使?


また


あなたに逢える?







ある日の H.R.中――――




「…天使…か…一体…誰だろう……?」



あの後、羽を明るい所で見てみると、白い羽だと分かり天使だと確信した。



私はポツリと窓の外を眺めぼんやりしていた。


そんな中、私のクラスに一人の転入生。





「長田 玲夏(たけだ れいか)です」


「美人、可愛いーー」




男子生徒が囁きザワつく。


そして、彼女の存在は一気に人気急上昇だった。





その日の放課後――――




「水城さん、これ、お願いね」



私は、掃除を押し付けらた。


そんな彼女達は、私の返事を聞く事なく帰っていった。



「手伝おうか?」



声がし振り返ると、そこには悠鬼君の姿。



「あー、良いよ。平気!慣れっこだし。気にしないで」

「…でも…」

「本当良いから」



私は一人でする。


そんな中、悠鬼君は渋々、帰り――――




「ふーーっ…終わった」



掃除を終える私。



「お疲れ様」



ビクッ



「えっ!?悠鬼…君?あれ…?帰ったんじゃ…」

「普通ならとっくに帰ってるよ」


「そうか…それで?どうして?悠鬼君、モテ系だし私なんかに構わない方が良いよ。それじゃ、お先」




スクールバッグを手に悠鬼君の横を横切る私。



グイッと私の腕を掴み、引き止められた。




「悪魔は天使との接吻(くちづけ)で、仮の姿から人間になっていき……堕天使との接吻は…更に進化していき、一生悪魔の姿から戻れなくなっていく…そして…死界へ真っ逆さま」



「………………」



「…って伝説があるって話を聞いた事あるんだけどさーーー」



向き合う私達。




「…あれって…本当に…伝説なのかな…?」

「えっ…?…悠鬼…君…?」


「今も尚、その話は、こうしている間に、天使と悪魔は接触してんのかな?って考えない?…もしくは…堕天使…小悪魔とか…?」




バッと掴まれた手を振りほどく。




「………………」




「…悠鬼…君…あなた…一体…」


「別に。伝説とか、そういう話って、俺、大好きだからさー、ちょっと聞いてみた」


「…天使だとか…悪魔だとか…そういうのは実在しないし、存在しない!モテ系のくせに、何、現実離れした事言ってんの?そんな事、みんなの前で言ったら馬鹿にされるよ?」




私は教室を後に走り去った。




「…でも…君だったら、そういう伝説は通用するよねー?だって君は…悪魔だから。そして俺は君の敵でもあり味方でもある…」



バサッ


左右色違いの羽を広げる俺。




「だって…俺は…天使と堕天使の血を引いてるタチの悪い生態だからね」





運命のイタズラ?



そして私の人生は



狂い始める




だって私の側には


別の敵がいるのだから――――




―――そう−――




それは―――――




まだ―――



気付いてはいなかった―――


















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