第7話 小悪魔

「悠鬼君」

「…長田…」


「…ねえ…悠鬼君って……もしかして…天使?それとも…堕天使?」


「えっ?」


「この前…見ちゃぅた。あなたが空を飛んでいる所」

「…そう」

「ねえ…天使なら私とキスして人間にして」

「君は何を根拠に、そう言うの?」

「…だって…私…小悪魔だもの」



「…小…悪…魔…?」

「そう…だから…」

「…でも…真実の愛でなきゃ成立しないんでしょう?」

「…それは…」


「まあ、君がしたいっていうなら、してあげても良いけど…」


「えっ…?」




グイッと引き寄せキスをした。




「…ちょっと…待って…!今…」

 

「…何?だってキスしたかったんだろう?長田」




バサッ

堕天使の姿になる俺。




「…えっ…?お前が見た姿って俺だろ?堕・天・使」


「最っ低…!信じらんない!」

 

「クスクス…騙されるお前が悪いんだろ?」




バシーッ



彼女から頬を打たれた。



「ってーー!何すんだよ!お前が言い寄ってきたんだろつ!?」


「私は堕天使なんか必要としていない!さようならっ!」



長田は教室を出て行った。



「…まあ…キスする度に、天使の生命は弱くなっていき、そして、この身体は俺のもの。天使は真実の愛が必要なんだし、堕天使は、そんなの関係ねーからな?生き残る為なら、どんな手段を選ばない」




「………………」



「長田玲夏…あんたが小悪魔なら、天使の俺を必要とする。本当。タチの悪い俺。なあ、天使さん」


 


スッ



バサッ


白い翼を出す俺。




「…………………」



「…学校…?」




タッタッタッ… スッ


廊下から足音で元に戻る悠鬼君の姿。




ドキッ



「…悠鬼…君?」と、私。


「…水城…」

「何してんの?」

「…いや…じゃあ」



帰り始める悠鬼君。




「待って!」

「何?」

「…ううん…何でもない」

「そう。それじゃ」




私達は別れた。










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