第7話 風呂とマッサージ


 脱衣所で服を脱ぎ、魅音と共に風呂場へ入った。

 掛け湯をして背中合わせで湯船に浸かる。

 魅音の裸を見るのは小学生以来か。

 丸みがあって胸も立派に成長していた。


「そもそも何で俺たちは二人で風呂に入っているんだ?」


 そもそもの疑問を口に出していた。


「別に。意味はないけど」


「意味もないのに年頃の男女が風呂に入っていいのか?」


「もう入っているんだからグチグチ言わないでよ。いいでしょ。私たちは幼馴染なんだから一緒に風呂に入るくらい普通だよ」


「普通……なのか?」


「意識するからそれ以上、言わないで」


 魅音から提案してきたのに恥ずかしがる。乗ってきた俺にも責任はあるのだが、話の流れでそうなってしまったのは仕方がない。

 俺は意識しないように身体を洗って早く出ようと湯船を出た。


「背中」


「え?」


「流してあげようか? せっかく一緒に入っているんだし」


「別に一人で出来るし」


「まぁまぁ、遠慮なさんなって」


 魅音はボディタオルで俺の背中をゴシゴシと磨く。


「背中、広いね。やっぱり男の子なんだなって思うよ」


 普段なら絶対にありえない状況に俺は精神を落ち着かせた。

 やましいことなんてないと自分に言い聞かせた。

 ただ男女が一緒に風呂に入っているだけだ。変な意味なんて何もない。


「って変な意味しかないだろ!」


「郁真?」


「あ、いや。何でもない。交代しよう。俺も背中流してやるよ」


「ありがとう。じゃ、お願い」


 魅音の背中は丸みがあって細い。

 すっかり女らしくなりやがってけしからん。


「あー。そこそこ。もうちょっと上」


「あぁ、ここか?」


「うん。そこ。背中流すの上手だね」


「それはどうも」


 何とか暴走しないまま、入浴を終えると部屋に戻る。

 服さえ着てしまえば後は寝るだけだ。何も心配はいらない。


「ふー。良いお湯だった。うちより広いから快適だったよ」


「二人で入ったから狭かっただろ」


「そんなことないよ。むしろ快適」


「本当か?」


「ねぇ、マッサージしてくれる? 最近、肩凝りが酷くて」


「要求が多いな」


「よろしく」


 承諾した覚えがないのだが、魅音は俺のベッドにうつ伏せで寝た。

 大胆にも俺に身体を預ける形に少し興奮を覚えた。


「仕方がないな」


 俺は魅音に覆い被さり、親指を立てて腰のあたりを押した。


「あ! あぁぁぁ。気持ちいい。もっと」


 魅音の腰を中心に俺は親指を突き立てた。

 ここまで気持ちよくさせるって俺は実はマッサージの才能でもあったのだろうか。


「ねぇ、郁真に触られると何だか興奮するの」


「酔っている? 訳ないか。またからかっているのか?」


「自分ではからかっているように言い聞かせているんだけど、何か違うの」


「違うって何だよ」


「ご飯を食べさせてもらった時からそうなんだけど、郁真のことしか考えられなくて仕方がないのよ」


「さっきから何を言っているんだ?」


「自分でも分からないよ。でもこの興奮を抑えるためには郁真しかいないの」


「これ以上、俺に何をしろって言うんだよ。これだけ言われた通りにマッサージまでしているのに」


「それでも足りないの。だから次は抱いてみてくれる?」


「抱くってお前、それはちょっと」


「私のこと嫌い? いつもからかっているから嫌いになっちゃった?」


「別にそんなんじゃないけど」


「ごめんね。本当はこんなことしたくないけど、弄っていないと自分の気持ちを知られると思ったからやらずにいられなかっただけ」


「それってどういう……」


「これで許してくれる?」


 魅音は急に身体を起こして俺にキスをした。


「魅音?」


「ダメだ。もう、我慢できない。好きって感情がどんどん沸き起こっちゃう。止められないよ」


 ギュッと魅音は俺を抱きしめた。

 魅音の魅力的な身体に俺は興奮もピークに達していた。


「魅音。いいんだな?」


「うん。来て! 郁真」


 俺はその場の感情に身を任せた。いくところまでいってしまえと自分に鞭を打って流されていく。


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