好きと言う気持ちがもたらす沼で足掻く若者たちの姿

 誰かに惹かれる心。それは理屈で考えられるような物では無い。 
 好きと言う気持ちに忠実に生きられない時もある。
 振り回され、己の醜い部分と向き合う羽目になる。
 
 群像劇形式のこちらの作品。
 クリスマス前の男女六人に起こった出来事が、それぞれの章で角度を変えて語られていきます。
 同じように愛に焦がれながらも、立場を変えれば見え方も関り方も変わってくる。
 そんな彼らの心情を丁寧に描き上げることによって、恋とは愛とは、なんと不確かな感情の集合体なのかが浮き彫りにされていきます。

 確かな筆力で描きだされる世界は、切なくも美しいです。

 ガラス細工のように繊細で危なっかしい彼らの姿を、どうぞ皆さんも感じてみてください。お勧めです!

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