美しく円満に纏まらない恋情の美味。ずしりと読み応えのある群像劇。

歪に絡み合う感情、都合良く纏まることのない想いの行方。
美しく円満に纏まらない物語の美味を味わせてくれる、大変読み応えのある群像劇です。
六人の大学生それぞれの持つ個性と、彼らなりの真剣な葛藤の末に選択していくもの、その先に待っているもの。予想をしない彼らの選択や行動に、「え、いや待って、どうして!」と読み手はじりじりと焦燥を抱かずにいられません。それでも、人間の心というのは、きっとそうスムーズに正解など見出せない。ハッピーな展開ってそう簡単なもんじゃないと、物語は読者にそんな言葉を叩きつけてくるようです。
甘さばかりではない恋情のままならなさ、不快感、後味の悪さ。人を愛したいという強烈な欲求、その気持ちが的の中心に当たらないもどかしさ——。青春期にしたたかに味わう複雑な感情がぎっしりと詰まった、この上なくリアルな手触りの物語です。
ずしりとした読み応えのある、色彩豊かな群像劇。ぜひご一読ください。

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