被害者少年の慟哭と 加害者と傍観者の罪深さを 見事に描ききった力作です

 是非、一人でも多くの方に読んでいただきたい作品です。

 思春期という繊細で危うい時期。

 フランスから帰国子女として転校した少年、佐伯紘一は、目をつけられイジメのターゲットにされてしまいます。周りに助けてくれる人も無く、誰にも相談できずに、エスカレートしていくイジメ行為。

 そのストレスは凄まじく、身体にも異変が。
 『モグラの穴』の意味を知った時、色々な意味で救いのない紘一の状況に胸が苦しくなりました。

 そんな彼に訪れる束の間の安らぎ、さらなる地獄。崩壊。

 紘一自身の言葉で語られる心の痛みはリアルで壮絶です。

 こんな思いをする人が、一人でも減りますように。そう祈る気持ちと共に、そんな他人事の言葉を吐いている時点で、私はなんと愚かなのだろうかと情けなくもなりました。

 私自身の中にも、この作品の加害者少年のような思考が、親や先生のような傍観者的思考が、存在しているんです。
 それが、いつ、第二の紘一君を生み出すか分からないのだという恐怖を感じました。

 この作品を自分の事と考えて、大切にしていきたいと思いました。

 皆様も是非。お勧めです

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