酸いも甘いも、苦みさえ噛みしめて

 クリスマスが近付くころ。彼氏と幸せな時を過ごしている主人公、竹野内小夜ですが、順調なはずの恋は、〈冬の魔女〉こと沖元月華の噂など、何やら穏やかではない様子。

 群像劇ということもあり、まだ序盤であろう本作ですが、甘さや苦さを切りとるのではなく、恋のさまざまな味わいを描く美しい文章は必見です。とくにキャッチコピーになっている『愛されたことを、汚れるだなんて言ってほしくない』の一文には心が震えました。

 クリスマスソングが鳴り響く今の季節にこそ読んで欲しい、大人の本格恋愛小説です。

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