若者たちの抱く傷痕は、生々しくて痛々しくて、どうしようもなく愛おしい

経験したことのないはずの痛みを、驚くほどリアルに感じさせる青春群像劇です。
まだ2人目の主人公の章の連載中ではありますが、あまりに素晴らしいのでレビューを書きます。

大人へ向かう途上にある若者たちの恋。
好きな人が同じように自分を見てくれる、たったそれだけのことが、どうしてこんなに難しいのでしょう。
ただ大人への道を辿るだけで、どうしてこれほど困難にぶつかるのでしょう。
思うようにいかない、駄目な自分ばかりが目につく、素直な言葉が出てこない——先が見えない。
ひどく苦しくて、何度も窒息しそうになりました。

言葉の選び方はもちろん、シーンの切り取り方が非常に秀逸だと感じました。
何もかもを描き込むのではなく、登場人物の心境を読み手に想像させる文章がとても好きです。
美しいものだけでなく、人の醜い部分や性的なシーンも豊かに表現されているのが見事です。

これまで視点となっている2人の主人公ともに、それぞれ深く感情移入しました。
今後、誰の視点でどんな物語が綴られるのか、期待しています!

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