生々しさがもどかしくて、どうか幸せを、と祈らずにいられない。
- ★★★ Excellent!!!
読み始めは、自分にもこんな大学生活があったな、と懐かしさを呼び起こしてくれる物語でした。そうそう、校内はこんな感じで、そんな感じの教授がいて、恋人がいて――、なんて。
まず、その大学生活がものすごくリアルなんですよ。描写がね、生々しいんですね。なんていうか。自分もそこにいるんじゃ、いたんじゃないかって錯覚するくらい。あれ、私ここの卒業生だった?って。
それでちょっと若返ったつもりでキャッキャと読んでおりましたらば、ヒロインの女の子に次々と試練が降りかかるわけですね。
私なんかはもうおばちゃんなものですから、こんなきれいな筆致でね、どこか文学の香りさえするこのお話に対して大層下世話なコメントを書いてしまったりしているんですけれども、なんて言うんでしょう、逆にね、体裁なんて気にせず怒りをぶつけたくなるほどに感情移入してしまうんですね。ストーリーそのものもそうなんですけど、そういう引き込む文章力がもうお見事だなと。いや、私は何様なんだ。
ほんとヒロインの小夜ちゃんはマジで幸せになってほしい。どんな形であれ。