夜風

　瑠姫（るき）は、中学校の同級生だった幸織（さちお）の招きで、かつて住んでいた甲峰（こうみね）の村を訪れる。リゾートホテルの撤退とともに村は寂れ、大きなお屋敷に住んでいた同級生の一家もいなくなって、そのお屋敷跡も荒れ果てていた。幸織のボートに乗せてもらって沖に泳ぎに出た瑠姫は、村の入り口の「幽霊松」の下に、黒服で身をつつんだ異様な人影を目撃する。
　過去にとらわれながらも、懸命に新しい出発を手探りする、若い女性三人の物語。『荒磯の姫君』現代篇の第二作（2016年作）。
　＊この物語はフィクションであり、実在の事件・人物・企業などとは無関係です。また、作中の実在の土地に関する感想は登場人物のものであり、作者のものではありません。ご了承ください。

　関連作：
　荒磯の姫君（上）
…続きを読む