息をする暇もない本格ミステリー。圧巻の一言です。

寝る間も惜しんで読みふけってしまいました。最後のエピソードまで緊迫感が続く、本格ミステリーです。

主人公の若槻明宏は、ある日妹を強姦した男を射殺する。密室での殺人。事件は迷宮入りし、彼は人目を憚るようにして生活していた。
しかし、ある時届いたのは彼の罪を知る人物からの招待状。迷宮入りクラブと称するクラブへ連れて行かれた彼は、そこでゲームをすることになる。

用意されたのは、6つの迷宮入りした犯罪と7人の容疑者達。しかし、7人の中には1人、冤罪の者がいる。
お互いの罪を暴き、そして自分の罪を他人に被せる為のゲームが始まる――

主人公の若槻はもちろん殺人の罪を侵している為、冤罪者ではありません。読者もそれをわかっているので、若槻と一緒に他の事件の推理をしつつ、別の参加者からは犯人として追われるというヒリヒリしたスリルを味わうことができます。この筆力が物凄い!次々に展開される謎解きと頭脳戦。通常のミステリーは推理役が犯人を追い詰めていきますが、謎解きをしながらも追われる立場というのが他に類を見ないアイディアです。最初から最後まで緊迫感がすごく、気がつくと夢中でページをめくっていました。

一つ一つの謎もよく作られていて、ミステリー好きにはたまらない本作。6つの迷宮入り事件が出てきますが、情報の開示がうまいので各事件の情報が混乱することはありません。伏線もしっかり貼られており、謎解きが終わった後に該当部分を読み直してみると「ああなるほどなぁ!」と感嘆することも。

各事件の犯人は誰か?
冤罪者は誰か?
若槻は自分の罪をどうやって他人に被せるのか?
そしてゲームマスターの目的は?

いくつもの謎に包まれながら、時間を忘れて読みふけってしまう。そんな読書体験をしたい人におすすめの一作です!

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