息つく暇もない頭脳戦。互いの罪を暴き合うクラブで、彼は生き残れるのか?

赤の他人同士が集められ、殺し合いをさせられるデスゲーム。
本作もまさしくその形式ですが、このクラブの参加者は一人を除いて全員が殺人犯。誰がどの罪を犯したのか、自分の罪を隠しつつ相手の罪を暴くのが、この『迷宮入りクラブ』です。

最初から最後まで非常にスリリングでした。ほとんど息するのを忘れていたと思います。
迷宮入りした事件が6ケース。トリックや動機の推理劇も6ケース分。
これだけでも読み応えがあるのに、いつ自分が告発されるのかという緊迫感や、クラブの目的は何なのかという疑念、更には参加者同士の腹の探り合いなどもあり、幾重もの頭脳戦・心理戦をどっぷり楽しめます。

物語冒頭で語られる主人公・若槻の殺人の動機は、腑に落ちるものでした。その怒りは尤もだと思いました。
ですがこんなクラブに参加させられ、他者を陥れることで、どんどん後戻りできなくなっていく何とも言えない気持ちの悪さがありました。

ラストに明かされた真実。その勝利は、勝利と言えるのか。彼は何に勝ってしまったのか。そして何を失ったのか。
いくつか想像できる今後に、どうしようもなく心のざらつく読後感でした。それが最高でした。
すごかった。本当に面白かったです!

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