疼く傷跡も、苛む思い出も。癒えて向き合える時は来る。きっと。

年の割に理知的で、ちょっと引っ込み思案で、なんだか不器用そうで、どこか引いた目線と距離でいるけれど――でもよくよく見ていると「ああ、この子は子供なんだなぁ」なんて、つい頬が緩んでしまうような。
そんな女の子って、かわいいと思いませんか?

「こちら」と少し異なる並行世界。妖精や鬼、悪魔といった人ならざる存在が伝承やお伽噺でなく、見えざる隣人として当たり前に同居する世界。そんな世界の片隅で、「見えざる妖精を見る」目を持った小学生の女の子――白瀬 白菊は、そうした「かわいい」女の子です。
彼女と、彼女をとりまく人々――と、それから人ならざる存在の、ささやかな日常と、いくつかの事件のおはなし。時々無暗に甘酸っぱくて、時に少しだけ物悲しくて、でも最後はきっと優しい、そんなお話を。
喫茶店らしくコーヒーか紅茶など傍らに置いて、おひとついかがでしょうか。

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