不遇と渇望の子どもたちが、幸せを取り戻すまでの物語。

超然としていても渇望に満ちて、聡明であっても熱く、美しくも妖しく、強くあっても儚げな本作主人公のキング。

陰と陽、正と逆、双方の描写が見事です。

プロローグの舞台は、華やかだった遊園地の侘しい跡地。そこで、名前すら親から授かられなかった底辺の少年が、人智を超越した死神の力を手に入れキングと名乗りを上げる。

序盤は単話完結方式で、キングが死神の力を使い日常を浸食していきます。
凄惨な虐待で人間性を奪われたキングが求めるのは、服を得て、学校に通い、家に住むこと。どこか壊れたキングの底知れない仄暗さと共に描かれる、普通の生活への渇望が切ない。

そして、とある邂逅からキングが欠落していた人間性を取り戻した時に、ダークヒーローとしての使命に目覚めます。しかし、同時に人としての脆さも手に入れてしまう。

超然とした、死神としてのキング。同じような境遇の子どもを助けようと奔走する人間としてのキング。キャラクタたちの二面が丁寧に描かれています。

時には仲間を得て、時には仲間を失い、それでも平和の鐘が鳴り響くその日を目指して戦い抜くキングの軌跡に、きっと熱くなるはず。

感動のラストまで、是非読んでもらいたい。

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