最も美しい時間に訪れる、淡い恋のお相手

主人公の少年が恋をするのは、きれいな年上のお姉さん。

彼女と出会えるのはマジックアワー、つまり日没後の僅かな時間にだけ見える美しい時間。
太陽は沈み切っていながら、まだ辺りが残光に照らされているほんのわずかな間、橙と紺に吸い込まれていく時間にだけ訪れる不思議なお姉さん。

静かな漁村に立ち上がった開発計画と共に綴らる、少年の軌跡。

確かな筆力を持った作者によって描かれる、溜息が出るほどの美しい情景。
そして、夢と現実の間のふわふわとした幻想感。

確かな事は語られない。だからこそ、マジックに掛かったような読み味が楽しめる。そんな作品です。

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