2022年9月14日 痩せる決意とは

 3日に1回は「痩せたい」「痩せよう!」と思っている。しかし、当然のことながら、思うだけ・念ずるだけで達成できるわけもなく、痩せないどころか、増量加速中である。そもそも私の人生で、痩せていた時なんてあっただろうか。


 私は、幼少の頃は普通サイズの子供だったと記憶している。そこに変化が訪れたのは小学3年生の時だった。父が持病で入院することになり、ちょうど夏休みだった私と姉は祖父母宅へ預けられた。祖父母は小学3年生と5年生の女子が、一般的にどれくらい食べるのかがわからなかったようで、それはそれはボリューミーなごはんを毎日作ってくれた。さらに、父や母を思い出して寂しい想いをするかもしれないと、お菓子もたんまり買ってくれた。与えられたものを、そのまま口へ運んでいた私は、ひと夏で驚きの8キロ増量という結果を叩き出した。(余談だが、同じ食生活をしていた姉の体重は微動だにしなかった。ひどい!!)


 夏休みが終わる頃、我々姉妹を迎えに来た母は、私の丸々と太った姿に悲鳴を上げていた。学校の制服は、当然ながらサイズオーバーになっており、焦った母は町内を回って制服のお古を買い取らせてもらった。新学期が始まって早々、私は人生で初めて「股ずれ」というもの体験することになり、その後は股ずれ防止の為、スカートの下にスパッツを履いて登校することが日常になった。


 こうして私の太め人生が幕を開けた。


 母はどうにかして私を痩せさせようと、無理やり地域のバレーボールチームへ入れた。体を動かすことが嫌いではなかったので、そのまま中学・高校とバレーを続けた結果、少しだけスリムになったものの、身長は158㎝にしてSサイズは到底入らず、だいたいMサイズがジャスト、Lサイズだと安心だなというサイズ感。<ほっそり>とか<華奢>という言葉とは無縁のがっちり体型、やっぱり太めであることに変わりはなかった。


 思春期に入り、私の周りでもダイエットをする友達も多かったが、なぜか私は「痩せたい」と思うものの本腰が入らず、ダイエットはいつも3日坊主…というより3日ですら続かないというダメっぷり。相変わらず太め人生まっしぐらだった。社会人になって数年がたった頃、淡い恋心を抱いていた男性の先輩と食事に行くことになり、浮かれあがっていたのだが、食事のスタートと同時に先輩は言った。

―おれ、細い子が好きなんだよね

食事スタートと同時に振られるという貴重な経験もした、わが太め人生。


 そんなこんなで、一般的に見て、自分が太めなのは重々わかっていたのだが…昨年、私はついに「太め」からさらに上の「おデブ」にグレードアップしてしまったのだ。


 昨年の春、私は会社都合で取引先に半年間通う必要があった。簡単にいうと期間限定の出向という形で、取引先の社員さんと同じように、その会社に通ってお仕事をするのである。取引先の方はとても素敵な方ばかりで、良くして頂いたのだが、慣れない仕事と集団行動は予想以上にストレスとなり、食欲が止まらなかった。

 

 お世話になった取引先の近くにはコメダ珈琲があった。私はいつも仕事が一旦落ち着く夕方にコメダへ行っては、あれこれ食べていた。ご存知の方も多いと思うが、コメダのメニューは1品1品のサイズが大きい。そして甘いものもあれば、しょっぱいものもある。豊富なメニューから選べるワクワク感と、がっつり食べられる満足感から、最初の頃は「今日がんばったご褒美」として1週間に1回食べていたものが、次第に日課になっていった。


 半年後の2021年秋、「最近太った気がするな~」と思いつつも、その取引先での契約期間を無事終えた。最後の出社日に、チーム全体で記念写真を撮影して、晴れ晴れしく終わったと思っていたのだが、後日送られてきた写真を見て、私は悲鳴を上げた。そこには「太め」とは言い難い、どうみても「おデブ」クラスの自分が映っていた。顔は二重顎でパンパンになっており、スーツも腕周りがパッツパツ!!腰回りは贅肉浮き輪ができており、誰がどう見てもおデブの姿だったのだ。さすがに自分の姿に落ち込み、しばらく食事が喉を通らなかった。


 あの衝撃から1年が経とうとしている。あれだけの衝撃を受けたはずなのに、この1年間で痩せたのかと言われたら、ほぼ痩せてない。自分の意志の弱さにびっくり仰天している。あれからやったことと言えば、3食の白米を減らしたこと(どうしても米が食べたいので、なしにはできぬ)、スーツを新しく買い替えたこと(サイズアップした…笑)、カフェでは紅茶ストレートしか注文しないこと、1日8000歩以上歩くことくらい。そりゃ代謝が落ちているアラフォーがそんなことしたぐらいで、痩せるはずがない。


 痩せたい気持ちに嘘はない。だけども何があっても絶対に痩せてやる!!という強い意志もない。


 どなたか、私に痩せる決意を与えてください。人に頼ってる時点でダメなんでしょうけど。




 




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