絵本がつなぐ二つの夢

絵本作家を目指す男子高校生という珍しいテーマに惹かれ、気づいたら読み進めていました。

保育士を目指す幼馴染み、由衣の読み聞かせの練習に付き合いながら、主人公の康介が諦めかけていた絵本作家への情熱を取り戻していく短編小説です。

全体をとおして癖がなく、誰にでも読みやすいであろう滑らかな文体で描かれる幼馴染み二人の純粋で正直なやり取りはとても微笑ましく心穏やかな気持ちになります。

絵本作家を夢見る康介の一方、由衣が保育士に憧れているという設定は昨今の業界のブラック化(介護、福祉以上に低賃金と聞きます)に鑑みるといささか漫画的な設定という印象を失礼ながら1話の時点は抱いてしまいましたが、読み進めるうちにその違和感が自然と払拭されるほどには話に入り込んでいました。つまるところ、自分にもこういう幼馴染みの女の子がいたら良かったですね(笑)

コンテストへの出品の都合上、6500字程度の字数で纏められていますが、もう少し長く読んでみたかったと思うほど、登場人物の二人に愛着がわいてきました。

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