メテオゴーレムダンジョン

ダンジョン進入クエスト

 のどかなシズ草原フィールドを歩く。

 この先に『メテオゴーレムダンジョン』があるはずだ。そこを目指して武具の性能を確かめる。ついでにダンジョン攻略もしてみるという目的だ。


「しかし、どっちの方角なんだろうな」

「アビスさん、こんな事もあろうかとグレイスさんにマップ情報を教えてもらいました」

「マップ情報?」


「はい。いいですか、バッテン×を描くと右上に【MAP】のボタンがあるじゃないですか。それを押してみて下さい」


 確かに【MAP】なんてモンがあった。

 押すとデカデカとこの周辺の地図が出てきた。なにこれ、すげぇ便利。これあれば迷わないじゃん。


「現在地は『リディア共和国』ですから、南西です。ほら、色濃く強調されているでしょう」


 なるほど、この赤く光っている点が『メテオゴーレムダンジョン』の場所であり、到着地点なのか。



「なんでマップ情報で場所まで正確に分かるんだ?」

「受付嬢に『ダンジョン情報』を教えてもらった場合、行先をそのように示してくれるんです。つまり、案内ナビしてくれるんですよ〜」


 ちなみに、ダンジョン前までの情報なら基本的には無料らしいと、ローザは得意気に話してくれた。ということは内部情報とかは有料なのか。


「へえ、覚えておくよ」


 マップに従い生い茂る草原を進んでいく。どうやら、経路も正確に案内してくれるようだ。なるべく危険ではないルートを自動で示し、絶対に迷わないようだな。こりゃいい。


「あ! そうでした!」

「なんだ、どうした?」


「グレイスさんに聞いたんですけど、メテオゴーレムダンジョンへ入るには『進入クエスト』をしないといけないんです」


「進入クエスト?」


「ダンジョン前で受けられるそうです。とにかく向かいましょう」



 ▼△▼△▼△



 そんなわけで三十分ほど掛けて『メテオゴーレムダンジョン』前まで辿り着いた。気づけば周囲は荒地となり、岩肌の多い渓谷を進んでいた。


 やがて、大きな口を開く『洞窟』が現れた。だけど、その前を石像ゴーレムが堅く守護していた。あれでは入れないな。けど、ここがダンジョンか。雰囲気あるな。


「アビスさん、ダンジョン前にゴーレムの石像があります。あれに話しかけてみて下さい」

「あれに話しかけるって……」

「いいからいいから」


 ローザの指示通り、俺は“石像ゴーレム”に話しかけた。



『……よくぞ来た、冒険者よ。この先に入りたければ『ゴーレムの破片×100個』と『高質なドロ×100個』を納めるがいい。達成すれば、お前を認めダンジョンへの進入を許そう』



 うわ、なんか喋った!

 しかも、なにか目の前に出てきた。




【MGD進入クエスト】

【クエスト詳細】

 ゴーレムの破片×100

 高質なドロ×100


 収集品を集めて石像ゴーレムに渡す。クエスト達成で『メテオゴーレムダンジョン』へ進入可能になる。




「な、なんだこれ」

「言ったでしょう、進入クエストと。それを達成しないとダンジョンへ入れないんです。高難易度ダンジョンでは普通ですよ」



 マジか。

 ダンジョンに入るには、クエストをやらないといけないんだな。知らなかった。



「どうすればいい?」

「ゴーレムの破片と高質なドロは、この周辺にいる『ゴーレム』が落とすそうです。グレイスさんから聞いておきました」


「さすがローザ。お前、なにげにサポート凄いな。助かるよ」


「そ、そんな褒められると照れますって……」



 頬を紅潮させるローザは、照れて視線をらす。ほぉ~、こういう可愛いところもあるんだな。


 とにかく、収集品を集めないとか。

 その為にもゴーレムを倒すしかないわけか。でも、待てよ。ゴーレムってダンジョンにしかいないんじゃないのかな。



「教えてくれ、ローザ。ゴーレムは別の場所にも生息しているのか?」

「う~ん……恐らくですが、この渓谷周辺にいるのでは。ゴーレム自体はそこまで強いモンスターでもありませんし、フィールドでもいるかと。そうでないとクエストも進みませんし」



 となれば、渓谷フィールドへ行けばいいのかな。完全なフィーリングだけど、行ってみる価値はあるだろう。


 歩きだすと、遠くに待機していた冒険者が近づいてきた。なんだ、この男。まるで盗賊みたいな格好だな。



「やあ、君たちもメテオゴーレムダンジョンに入るんだろ?」

「あんたは?」

「オレは、ギルド『ディアボリック』のギルドマスター『スライ』だ」


 スライ、なんだが柄悪いな。

 あんまり関わりたくない雰囲気。

 お仲間も怪しさ全開。



「そのスライさんが何か用かな」

「ああ、ダンジョンに入りたいならクエストアイテムをくれてやろう。集めるのも大変だしさ」


「え、くれるの? って、金ならないぞ」


 実際はあるけど、貴族でなくなった今の俺はドケチなのだ。


「いやいや、タダさ! オレたちはダンジョンへ直ぐ進入したい人に向けて支援しているギルドなんだよ。別に怪しい者じゃない」



 いやいや、怪しいんだって。

 けど、タダか。

 タダより怖いものはないと親父も言っていたけどなあ……。疑っていると、ローザが耳打ちしてきた。



「どうします、アビスさん。彼らの話に乗れば手間を掛けずにダンジョンへ入れますけど」

「そうだな。面倒を省けるのはデカイ。けど、な~んか怪しいんだよな」

「はい。罠かもしれませんよ。人を騙し、レアアイテムを強奪するパーティやギルド、殺人ギルドなんて噂もありますから」


「さ、殺人ギルド!?」

「ええ、気を付けて下さい。でも、アビスさんならきっと大丈夫です。わたしもいますし」


 そうだな、ローザがいれば不思議と大丈夫な気がしていた。まあ、大丈夫だろ。俺は、スライにクエストアイテムを頼んだ。



「おぉ、そうか! じゃあ、君のアイテムボックスへクエストアイテムを転送する。受け取ってくれ」


「ありがとう、感謝する」



 本当に『ゴーレムの破片×100』と『高質なドロ×100』が送られてきた。スライは、悪意なく笑い、激励してきた。



「がんばってくれ! 応援している!」

「あ、ああ……」



 俺は、ちょっと心配になってローザの手を引く。顔を赤くしてうつむくローザは、口元を震わせていた。……ったく。そんな反応されると、こっちまで照れるってーの。


 さてさて、あのギルドマスターという人のおかげで進入クエストのアイテムはそろった。俺は、改めて“石像ゴーレム”に話しかけた。



『よくぞアイテムを揃えた。お前の・・・進入を認めよう』



 よし、これでメテオゴーレムダンジョンへ……! 俺は守護ゴーレムが道を開けてくれたのを確認し、先へ進んでいく。


 しかし、そこで問題が発生した。

 ローザがダンジョンの外へ弾かれてしまった。……なッ! どうして!?



***おねがい***

 続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。

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