無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗

Episode.1

ログボとSSS級装備

無限初回ログインボーナス

「別れましょう、アビス。あなたは子供すぎるし、それに、お金だけが目当てだったんですもの」


 十五歳の誕生日。

 一年以上付き合った恋人のレイラは、そう言った。俺は騙されていたんだ。


「マジかよ。俺の資産はどうした」

「奪ったわ。全部ね! もういいでしょ、貴方みたいな退屈な人とは別れる。じゃあね」


 そんな……そんなの残酷すぎる。

 金のために付き合っていたとか、なによりもその事実がショックすぎた。


 両親から受け継いだ、家も、土地も、家具も、お金も――なにもかもを奪われた。もう俺のものは何一つ残っていない。



「レイラ、お前!!」



 追いかけようとしても、もう遅かった。彼女の姿は消えていた。



 俺は……、俺はぁ……!



 絶望して帝国中をアテもなく彷徨さまよった。あれから、三日は経ったらしい。服も靴もボロボロでお腹もぺこぺこ。精神的にやられて食べ物が喉を通らず、辛すぎた。


 あと150ベルか……しんどいな。


 150ベルなんて飲み物を買ったら終わる。これで俺の生命も終わる。



「ん?」



 ふと気づくと今いる場所が冒険者であふれていた。みんな、ギルドを行き来していた。その中で気になる会話があった。



「いやぁ、今日もクエストで大量に稼いだよ。僕はいつかお金持ちになって辺境の地で暮らすんだ」



 ……!

 そうか、あのギルドに入ればお金が稼げるんだ。つまり、俺も冒険者になれば今の貧窮した事態を脱することができるかも。



 ギルドの受付嬢のところへ向かった。だけど、受付嬢は引いていた。



「……あ、あのぅ。その、お客様ボロボロすぎですよ?」

「身なりは酷いけど許してくれ。冒険者になるにはどうすればいい」



 受付嬢は『そんな格好で冒険者になるの?』みたいな視線を送ってきた。当然の反応だけど、構うもんか。今は生きる為に必死なんだ。



「そうですね、分かりました。お客様、お困りのようですし」

「助かる。本当に助かるよ!」


「お名前をお聞かせください」


「アビスだ。アビス・ウィンザー」

「……え? あなた、ウィンザー家の長男では。あの伯爵家の方ですよね」


「もう伯爵家はない。潰えたんだ。それより、冒険者を登録を頼む」

「わ、分かりました。アビス・ウィンザー様の冒険者登録をいたします」



 数秒後、俺の頭上に【302003】という数字が現れた。でも、少しして消えた。



「な、なんの数字?」

「それは冒険者ランキングを示しているのです。アビス様は、たった今冒険者になったばかりなので、順位で302003位というわけです」



 なるほど、この世界には三十万人もの冒険者がいるんだな。その中の最下位ってわけか。へえ、ランキングなんてあるとか知らなかったな。



「ありがとう。これから、どうすればいい?」

「そうですね、まずは初心者向けの洞窟とか目指されるといいでしょう。その中に“モグモグ”というモグラ系モンスターがいるんです。弱いです!」


 倒せば、経験値とかアイテムをゲットできると。


「あ、そうだ。討伐クエストってないの? お金を稼ぎたい」

「ありますよ。では、そのモグモグ討伐を開始しますね」

「頼む」


 また青白く光ると、目の前に【モグモグ討伐クエスト(0/30】と現れた。どうやら、30体倒せばいいらしいな。達成で【報酬:3000ベル】と書かれていた。へえ、こりゃ凄いや。


 3000ベルあれば、格安宿屋なら一泊できるぞ。



 俺はさっそく帝国の近くにあるという『洞窟』へ向かった。



 だけど、俺は外の世界を甘く見ていた。



 * * *



 洞窟に到着。

 帝国を出て荒野フィールドを少し歩くとあった。受付嬢の言う通り、明らかに初心者っぽい人しかいなかった。


 薄暗い洞窟内を進んでいく。


 すると、直ぐにモンスターが現れた。

 あの両手で持てそうなサイズ感のモグラが“モグモグ”か。なんだ、弱そうだな。


 武器は持っていないので『素手』で殴る。それしか攻撃方法がなかった。



「おらっ!!」



 一発ブン殴ると一応命中。だけど、たいしたダメージは与えられなかった。うわ、モンスターって意外と体力あるな。

 今度は、モグモグが攻撃をしてきた。



『ヌー!!』


「うわっ!!」



 俺は小ダメージを受けた。そこそこ痛いな。だけど、耐えられる痛みだ。死ぬほどではない。なんだ、なんとかなりそうじゃないか。


 と、思ったその時。


 モグモグがどんどん現れ、俺は囲まれてしまった。……え、ナニコレ。どういうこと。モグモグって雑魚なんだろ? なのに目の前には十、二十はいた。



『ヌゥゥ!!』



 バコバコ殴られて、俺は瀕死になった。や、やべえ……痛いし、死ぬ。死んでしまう。逃げようと必死にもがく。


 死にかけた時だった。



 ごうっと洞窟内を覆う程白い光が吹き抜け、モグモグを蒸発させた。……な、なんだ!? 凄い光だぞ。



「ホーリークロス……です!」



 目の前にはいつの間にか銀髪の少女がいた。後ろ姿でよく見えないけど、俺を守ってくれたようだった。



「き、君はいったい」

「わたしは、大聖女ローザ。アビス様、お忘れですか。あなたにその昔『無限初回ログインボーナス』を授けた者です」



 な、なんですとっ!?

 無限初回ログインボーナスって、なにそれ!?



***おねがい***

 続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。

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