S級確定、冒険者ランク急上昇
どうやら、ローザの料理スキルは、スキルレベルが
つまり、レベルマックス。
極めてしまっていた。
「凄いな。てか、もう料理が出来てるじゃないか!」
「ええ、わたしほどの腕というかスキルレベルになると“秒”で出来上がるんです」
秒ってか……パッとそこに豪華な料理が現れたんだが。まるでマジシャンのような手際の良さだった。
ついでに、料理スキルの詳細を見せてもらった。
【クッキング】
【Lv.10】(Max)
【補助スキル】
【詳細】
消費魔力:30。
料理を作る。
材料アイテムが必要。
調理器具アイテムが必要。
スキルレベルが高いほど作れる種類が増え、成功率がアップする。料理に失敗した場合、材料は消失する。
Lv.1:調理成功率 +10%。
調理時間:30分。
Lv.2:調理成功率 +10%
料理の種類が増加。
調理時間:25分。
Lv.3:調理成功率 +10%
料理の種類が増加。
調理時間:20分。
Lv.4:調理成功率 +10%。
料理の種類が増加。
調理時間:15分。
Lv.5:調理成功率 +10%
料理の種類が増加。
調理時間:10分。
Lv.6:調理成功率 +10%
料理の種類が増加。
調理時間:5分。
Lv.7:調理成功率 +10%
料理の種類が増加。
調理時間:3分。
Lv.8:調理成功率 +10%
料理の種類が増加。
調理時間:2分。
Lv.9:調理成功率 +10%
料理の種類が増加。
調理時間:1分。
Lv.10:調理成功率 +10%
全ての料理を作れる。
調理時間:0.5秒。
スキルレベルがマックスだから、たったの『0.5秒』で作れてしまうわけか。ちなみに、スキルレベルを上げるには、使用回数をかなり増やさなければならなく、経験値も
「ローザ様、凄いです。こんな美味しそうなステーキを一瞬でなんて!」
「ありがとうございます、ミランダさん。これはですね、凶悪なカオスドラゴンのお肉なんです。名前は物騒ですけれど、絶品なんです!」
「おぉ、これがあの有名なドラゴンのお肉。だから、黒いのですね」
そう、真っ黒だった。
丸焦げではないかと錯覚してしまうほどに。俺もこんな肉は見た事がなかった。変わった肉だけど、美味いのかな?
「ええ。では、いただきましょう。はい、アビスさんの分」
すでにお皿に盛りつけられており、俺は受け取った。この絵柄の入った可愛い食器もアイテムボックスに入れているんだな。なにかと便利な大聖女だ。
「しかし、テーブルが――」
「はい、ありますよぉ! ナイフにフォークもどうぞ!」
やっぱり、アイテムボックスから取り出すローザ。なんでもあるなぁ。感心しながらも、俺はテーブルにお皿を置いて、さっそく料理をいただいた。
ナイフで肉に切れ目を入れていく。
なんて柔らかさ。
ステーキにしては、そんなに力を入れなくても切り分けられた。これは上質な肉だな。
さっそくフォーク突き刺し、口へ運ぶ。
瞬間、口の中で肉がトロッと溶けていった。……んまッ。なんてこった。まるで液体のように流れていったぞ。
貴族時代にも、こんな美味い肉は食べたことがない。
ミランダも同じ反応を示し、ほっぺたが落ちそうなほど幸せな顔をしていた。分かるぅー! その気持ち分かる~。
「ローザにこんな特技があったとはなあ」
「えっへん! わたし、アビスさんに褒めて欲しくて頑張っていたんですよ~」
いったい、いつからなのやら。
でも、これは素晴らしい料理だ。
これほどの料理の腕を持つ者は、そう中々いるものじゃない。王族に仕える専属料理人レベルだぞ。
「これは、今後も料理をお願いしたいな」
「いいですよ。わたしの大好きな趣味ですし、なによりもアビスさんの舌を幸せにする義務がりますからねっ」
女神のような笑みを向けられ、俺は嬉しすぎて表情が崩壊しそうになった。
そ、それは
けど、ローザが料理好きなら止めはしないけど――うん、正直今後が楽しみすぎる。
食後、ローザはミランダに頼んで水属性魔法のスプラッシュを出すよう頼んでいた。まさか、こんなダンジョン内で洗い物をするとは……。
汚水は、これまたミランダの謎魔法で綺麗さっぱり。この二人が合わさると生活に困らなさそうだな。
「ローザ、任せっきりですまない」
「アビスさんは、パーティリーダーなんですから、ど~んと構えていていいんですよ~」
「だがなあ。俺も料理の材料くらいは集めるよ。今のところニンジンしかないけど」
「ええ、無限初回ログインボーナスでたまに材料も出てきますし、それを戴ければ嬉しいです」
「分かった。その、なんだ……」
「なんです?」
「ありがとな、ローザ」
「……っ! アビスさん、そ、そのぉ……はい。わたしも感謝していますよ。だから、わたしもありがとうなのです」
モジモジとしてローザは照れていた。こっちも照れるってーの。
* * *
周囲の冒険者は、先を急ぐ者、眠りに就き始める者で別れた。地上はとっくに深夜だろうな。俺はもう眠い。
ローザは横になって
ミランダは既に就寝していた。
この二人は俺が守らないとな。
両手で頬を叩いて立ち上がる。
すると、前方から大男が現れ立ちふさがった。
「よう、アビス」
「あんた、オーガスト。俺になんか用か?」
「ああ。お前だけに良い情報をやろう」
「良い情報?」
「お前は装備は一級品らしいが、基本を知らなさそうだからな」
「バレていたか。そう、ステータスはF級ってところかな」
レベルが分からないから、どこまでステータスが伸びているかも分からない。本当、なんで無駄に匿名性なんだろうな。
「そうか。なら強くなる方法を教えてやる」
「マジか!」
「簡単なことさ、
「そうだったのか、知らなかったぞ」
「強くなりたいなら、トレーニングを
「ありがとう、オーガスト。俺、寝る前は体を鍛えるよ」
「そうしろ。その二人を守りたければな」
オーガストは、ニカッと笑い背を向けた。巨体でおっかないけど、良いヤツだな。
――そうして俺は、夜な夜なローザとミランダを絶対に守れるような男になるべく、腕立て、背筋、腹筋、素振りを眠るのも忘れて……夢中になってトレーニングしまくった。
翌朝。
ほぼ一睡もせず朝になってしまったらしい。周りの冒険者が次々に起き上がって、地下六階を目指していたから間違いない。
……やっば。
睡眠不足だ、俺。
少しでも寝ようとすると、ローザに声を掛けられた。
「ちょっと、アビスさん。お話があります」
「お、おはよう、ローザ。顔が怖いぞ」
「あたりまえです! アビスさん、昨晩はずっと素振りしていましたよね」
「なんだ、見ていたのか」
「そ、そのぉ……頑張っている人に対して邪魔しちゃうのも悪いと思いましたし、あんまり怒りたくはないのですが、身体も大切ですから、ほどほどにしてくださいね。心配しちゃいますから」
「悪い。ついつい没頭してしまった。でも、よく分からんけど
さっき、試しにインビジブルアックスを振り回したが、空気にみたいに軽かった。少し振っただけで強風が吹いたし、俺かなり強くなったかも。
「はぁ、もう頑張り屋さんは放っておけないですね。ヒールをしますね、疲労回復の効果もありますし」
「おぉ、回復魔法か。悪いな」
ローザは、俺の疲労を回復してくれた。心なしか寝不足も少し解消された。これなら、しばらくは動けそうだな。
で、なんとなく自分の冒険者ランキングを覗いてみたんだ。すると、驚くべき順位になっていた。
冒険者ランク:961位(S級)
S級ランクだって?
マジか!
ちょっと鍛えただけで、ここまでランク上昇するとはな。
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