怪盗と実直警官の恋はちょっぴりファンタジー?でもしっかり社会派ドラマ!

 主人公のあかりさんは小学校一年生の担任教諭。明るく元気で生徒たちにも人気の彼女のもう一つの顔は寂しい子供たちの時間を盗む「ぴよぴよ仮面」というなんともとぼけた名を名乗る女怪盗で——!?

 身体能力を活かし、ひとりでお留守番をする子供の家に忍び込み、彼らの面倒を見てあげるあかりさんの行為はかなり危うく、読んでいるこちらもハラハラしてしまいます。どうしてそんな無茶を……と思いながら読み進めていくと、決して軽い気持ちではなく、彼女なりに深い考えがあってのことだとわかってきます。

 ところが隣人として警官の一ノ瀬さんが越してきてしまったからさあ大変。怪盗業を続けるために、その行動を把握するのだ! と決意した彼女のなんだかちょっとズレた行動に振り回される一ノ瀬さんににこにこしてしまうのですが、あかりさんが関わっていく事件はどれも現代の世相を反映したものばかり。

 ライトな語り口でオブラートに包んでいますが、その実には子供たちをめぐる幾つもの問題、そして親たちも含めた社会のありようを問いかけるものになっています。

 ラストはハラハラドキドキしながらも、爽やかなハッピーエンド! なのですが、彼女たちが解決してきた問題は、現実には山積したままで、いったいどうしたらいいのだろうな、と改めて考える良いきっかけにも。

 と、硬いことを書いてしまいましたが、たくましい警官にきゅんきゅんするあかりさんと、そんな彼女にどんどん絆されていく一ノ瀬さん。二人の恋模様もとっても楽しい一作。

 十三万字程度なので週末の一気読みにもとってもおすすめです!

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