合間に挿入される都市伝説だけでもかなりの読み応え!!

1番外「🎇ex 第一回 ドキっ♡と女子会恋バナトーク」まで拝読しました。
何者かに名前を奪われた少女は、ある日怪異に襲われそうになる。そこを助けてくれたのが直文という青年。
直文は半妖の陰陽師で、怪異につけ狙われることとなった少女を守ると誓う。

とにかく、合間に挟まっている都市伝説がどれも秀逸!
『さみしんぼの柘植矢さん』『まがりかどさん』はオーソドックスホラー。
『死因:入園』はアメリカとかで広まってそう。遊園地のチケットを手放せばいい、などの細かい要素まで本当に素晴らしいです。
『名取の社のナナシ様』は日本昔話みたいで好きです。
この都市伝説だけをまとめて短編集にしても面白そうだと思いました。

直文は前世の主人公を愛し、現世でも見守っている。中学生と青年で、ちょっと歳の差がありますが、読んでいる私も二人の行く末を見守りたくなります。
怪異の背後には陰陽師の派閥争いが絡み、それに容赦なく巻き込まれていく主人公たち。
一章の最後はナナシサマという神のなれはてのような存在と対峙しますが、何度も訪れるピンチのたびに、直文が主人公を大切に思っているかがひしひしと伝わってきて心を打ちます。

書きようによっては重たいダークファンタジーになりそうですが、全体のタッチが明るく、気負わずに読めてよかったです。
この雰囲気を作り出しているのは、寺生まれのTさん……じゃなくて茂吉さんと、主人公の友達の奈央ちゃんですね!
江戸時代から生きている茂吉さんの言動がそこはかとなく昭和で、私(自称18歳)はとても親しみが湧きました!
一番好きなキャラです。

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