概要
それは、まるで木漏れ日が煌めくような、温かく美しい旋律
誰からも顧みられることのない桜の木であるわたしに、初めて「綺麗」だと言ってくれた人がいた。
彼が卒業するまでの一年間は、わたしの生涯で最も優しく最も苦い一年だった。
わたしが命を終える時、最後の願いは叶うのか。
彼が卒業するまでの一年間は、わたしの生涯で最も優しく最も苦い一年だった。
わたしが命を終える時、最後の願いは叶うのか。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!あたたかく、そして優しいそのひとは
この美しい話を語るのは桜の木である「わたし」。
色取り取りの鮮やかな花がたのしめる花壇から、ちょっと離れたこんなところに咲くわたしを見つけてくれたのはフラワー委員に選ばれた男の子。
新入生と見紛うくらいに小柄な男の子との出会いの春。
梅雨が明けてやっと晴れたその日に、彼が涙を流した夏。
落葉の季節、思い出した頃に彼が訪れてくれる秋。
彼が「わたし」の前で思いを告げた冬。
そして、彼らを見届けた春へと――。
その一年は「わたし」にとってあたたかで、でも苦い一年だったかもしれません。
彼と過ごした一年間、彼が語ってくれた様々な思い、そして彼が歌ってくれたあたたかでうつくしい音楽。
「わた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!桜の木を通じて語られる日々のすべてが心に響く。
とてもとても素敵な物語だった。
短い物語の中で、これほど心が動かされることも中々ない。
語り部である桜の木は勿論、出てくる人物がみなとても愛おしい。
煌びやかな青春、切ない恋心。桜の木を通じて語られるそうした日々のすべてが心に響く。
ジャンルでいえばファンタジーなのかもしれないが、そうしたジャンルに馴染みがない読者の心にも響くと感じる。それは、しっかりとこの物語の中に、キャラクターが生きているからだろう。だからこそ、恋を微笑ましく思うし、叶うことのない気持ちに切なくもなる。生きているからこそ、その感情が単なる表現としてではなく、読み手にも伝わる。
ラストもとても良い。切ないけれど…続きを読む