桜の木を通じて語られる日々のすべてが心に響く。

 とてもとても素敵な物語だった。
 短い物語の中で、これほど心が動かされることも中々ない。
 語り部である桜の木は勿論、出てくる人物がみなとても愛おしい。
 煌びやかな青春、切ない恋心。桜の木を通じて語られるそうした日々のすべてが心に響く。
 ジャンルでいえばファンタジーなのかもしれないが、そうしたジャンルに馴染みがない読者の心にも響くと感じる。それは、しっかりとこの物語の中に、キャラクターが生きているからだろう。だからこそ、恋を微笑ましく思うし、叶うことのない気持ちに切なくもなる。生きているからこそ、その感情が単なる表現としてではなく、読み手にも伝わる。
 ラストもとても良い。切ないけれど、素敵で優しいその幕引きは、とても心地よい読後の余韻を生む。
 とても美しく、優しく、素敵な作品。

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