いいものを読んだ。心からそう思える、素晴らしい作品だった。

 5分で読書というテーマに合った読みやすさと、物語の深みが合わさっている素敵な作品。
 物語の運びが丁寧で、簡潔に語るところ、踏み込んで語るところのバランスが素晴らしい。
 読みやすさとのめりこみやすさが共存した文章と共に、登場人物の魅力もある。
 神の器たる者、純粋な者、見守る者。
 それぞれの人物にしっかりとした自我と個性があり、その魅力的なパーソナリティは、人物同士のかけあいでさらに魅力的なものになる。
 それぞれの内面がしっかりと読み手に見えているから、ひとつひとつのやり取りがとても響く。
 ファンタジーが存在する世界観の中で、そのファンタジーの魅力をしっかりと活かしつつ、描かれているのは、現代でも通ずる愛の感情の尊さ。
 短編の中で、こうした魅力的な要素が、ちょうどよく、かつ深く展開していく。
 文章表現、かけあい、設定、展開。どれもがとても面白く、心に響き、読了後も、心地よい余韻が残る。
 いいものを読んだ。心からそう思える、素晴らしい作品だった。

その他のおすすめレビュー

三角海域さんの他のおすすめレビュー11