空を仰いで主人公機に手を振りたくなる作品
- ★★★ Excellent!!!
第一話を読むと、タイトルどおりに青と白の世界が目の前に広がるような錯覚を覚える筆力と、生き生きとした等身大の登場人物たちに驚かされます。
どこまでも美しい言葉が綾なすのは、本来ならばパイロットだけが許された白い波濤と紺碧の世界。そこに浸れると言う贅沢。その中を一条の飛行機雲を曳きながら主人公機が翔けていく。主人公は、戦場には不釣り合いな愛らしいお嬢さん。
ベテランでも、エースでもない新米パイロットが編隊に一生懸命ついて行こうとする奮闘は、まだ幼い渡り鳥のようでとても愛らしい。
そんな主人公を支える、不器用ながらも一生懸命な小隊長、頼り甲斐のある元教官、豪快ながらも優しさを秘めた大隊長。そしてまだ見ぬ部隊員たち。
日常に居てもおかしくない人間味溢れる彼らが飛び込むのは、非日常の極致である戦場と言う世界。そこで繰り広げられるドラマから目が離せない。
冬の訪れに身を震わせる地上から曇天を見上げ、雲の切れ目から主人公機が見えたなら、思わず手を振って応援したくなる。そんな作品です。