第7話 音の勘違いが、危険のはじまり。ホームからの転落事故を、防ぎたい!やっぱり、ホームドアが、全国的に設置できれば良いのにね!

 視覚障害を抱えた方にとって、音の勘違いが、大きな危険のはじまり。

 プラットホームで待つ電車の音は、こう。

 「ゴトン、ゴトン…」

 別のプラットホームの電車の音も、同じ。

 「ゴトンゴトン…」

 待つ電車が止まる音は、こう。

 「プシュー、キュッ」

 別のプラットホームの電車が止まる音も、同じ。

 「プシュー、キュッ」

 どの電車も、同じ音。

 と、いうことは…。

 勘違いが、起きてしまう。別の電車の音を、目当ての電車の音と勘違いしてしまうというわけ。

 この問題を起こすのは、電車の作り。

 「ハナさん?」

 「はい」

 「作りが、問題なんだ」

 「…作り?」

 「ハナさん?電車には、それぞれ、長さがあります」

 「長さ…?」

 「8両編成だとか、7両編成だとか…」

 「ああ。その、長さですか」

 「このとき、電車を、音で判断して間違えてしまうと、大事故につながる」

 「…それって、たぶん」

 「何です、ハナさん?」

 「視覚障害を抱えた方が、8両編成の電車が到着したと思っていたとします」

 「そう、そう」

 「8両目に乗ろうと、8両目のドアの開く位置に、立っていたとします」

 「そう、そう」

 「ホームで待っていた人は、8両目に乗るつもりで、足を踏み入れます」

 「そう、そう」

 「でもそこには、ドアはありません」

 「そう…」

 「見えないのでわからなかったわけだけれど、その電車は、7両分の長さしかなかったから…」

 「当然、前に、ドアはない」

 そのまま、線路に、転落してしまう。

 ここで、危険を知らせるためにあるのが、ホームドアだ。

 電車とホームの間にあるホームドアが邪魔をして、視覚障害のある人が前に進めないのなら、そこには、電車のドアがないんですよという警告になる。

 それは、わかっている。

 それでも…。

 ホームドアは、全国的に設置が進んでいるわけじゃない。






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