難しい選択。
- ★★★ Excellent!!!
ウクライナ侵攻を題材にしたお話です。
この作品の主人公は、ロシア側にいる初老の夫婦。彼らの娘は、ロシアから見て西側の国に住んでおり、ロシアで流れているニュースが間違っていることを連絡してきます。
しかし、夫婦はそれを頑として受け入れません。読者はきっと、彼らもロシア側のプロパガンダのせいで、本当のことを知らずにいるのだろうと思うことでしょう。ですが、夫婦がそのような態度をとるには理由があるのです。
ロシアとウクライナの間にどんな摩擦があるのか。詳しくは分かりませんが、何かしらの理由はあるからこそ戦っているのでしょう。しかし、戦いは何をもたらすのでしょうか。
兵を集め、兵器を使って侵略し、得するのは誰なのだろうかと想像します。少なくとも市民ではないでしょう。
街を破壊し、緑はなくなり、人は死に、そこは荒野と化します。戦いなどしなければ豊かな麦が育ったでしょうし、子どもたちがのびのびと過ごし、人々は良くも悪くも、大きな抗えない力に左右されることのない「人生」を送れていたはずです。
この作品を読むと色んな感情が渦巻きますが、難しい中でも小さな希望も見いだせると思います。気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。