田舎町の少年は規律厳しいエリート校へ 美しい心は磨かれて強くなる

この物語はアジェンナ国物語という、東南アジアを彷彿とさせる世界を舞台にした壮大なファンタジー小説第二弾です。こちらから読んでも充分楽しめますが、登場人物達のかわいらしい少年時代を覗いてみたい方は「少年少女編」も是非おすすめします。

頭が良く、物語を綴る才能を持つマルは、貧しい生まれながらにして特待生としてエリート達が集まる学校に進学することになりました。田舎町でさげすまれながら生きてきたマルにとってはカルチャーショックの連続です。

理不尽なものへの葛藤、芽生えるライバル意識、そして友情。息が詰まるような規律厳しい宿舎と学校の生活ですが、マルは様々な出会いを通じて自分自身の礎となるものを築いて行くのです。

少年少女編から引き続き、東南アジアの雰囲気と妖怪が共に暮らす不思議な世界、対比するような都会の町が見事に描かれています。そこに政治的な思想が混じり、マル達が大人になってこの世界でどのように生きるのかと思いを馳せたくなります。

成長していくマルの心情も見事に描かれています。それは特別なものではなく、私たちがいつか通り過ぎた思春期というもの。時に懐かしさを感じ、マルと共に成長しているような錯覚に陥っていたり、大人の目線で応援していたり。感情移入をしながらちょっと不思議な世界を味わっています。

沢山の方に呼んで頂きたい物語です。

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