第12話 自転車

 怪獣さんは、自転車に乗れませんでした。乗れるようになったのが小学4年生。


 他の友達がみんな乗れるようになっても、

「いいよ、自転車なんか乗れなくても」

 と、頑張る。


「そのうち自転車通学するようになるよ?練習すれば?」

 そう言うと、怪獣さんは一言。

「一輪車に乗れるんだから困らないでしょ!」


 いやいやいや、怪獣さん。

「一輪車通学」、聞いたことないですよ、母は。


 結局、私の弟に子供用のロードバイクみたいないい自転車を買ってもらい、練習。一輪車乗れるくらいだから、二輪車なんか楽勝ですよね、考えてみれば。


 しかし、こんなところで怪獣さんの忘れ物癖が発動します。こっそり楽しようと小学校最寄りのスーパーまで自転車で行き、帰りは歩いて帰ってきました。

 カギもかけてない高級自転車。当たり前のように盗まれました。大馬鹿野郎です。


 それから安い自転車を買い、「通学には使わない」「必ず鍵をかける」を約束しました。


 小学校6年生になる時に北海道に転校し、いきなり自転車通学になりましたが、それまで走ったことのない片道5kmという距離。151cmの小さな体にはこたえたようで、すぐバス通学、または車で送って行くようになりました。

 北海道では冬場になると自転車も使えないので、殆ど乗らずに終わりましたね。


 札幌では乗っていたようですが……。

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