第2話 轢くな。

 怪獣さん(♀)が、まだ7ヶ月の頃でした。


 いろんなところにハイハイして行っては悪さをするので、歩行器に乗せることに。歩行器つけときゃ、さすがに変なとこには潜れまい、と。


 その頃には、つかまり立ちもできていたので、歩行器に乗ると、歩ける! 走れる!! わーい!!

「はい、そこ、走らない!!」

歩けもしないのに走る、うちの怪獣さん。


 喋れもしないのに、怪獣語をずっと喋り続けながら、ガーッガーッガーッガーッ!

と走り続ける。マンション(社宅)だったので、きっと上下の階の人は大迷惑だったことでしょう。会うたびに謝ってばかりおりました。


 この頃、長女は成長を促すために、保育園に通っておりました。

 長女帰ってくるなり、

「あーじゃ! あーじゃおおお!!」

と雄叫びをあげ、歩行器のまま姉に突進する怪獣さん。


 お姉ちゃんは、怪獣さんの運転する歩行器に轢かれて号泣する毎日。


 お姉ちゃんが大好きだったんでしょうね。

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