第5話 静かな時間

 怪獣さんは起きている間、常に喋りながら走っています。誰か、こいつの電池を抜いてくれ、と何度思ったことでしょう。

 

 が、たまーに、静かになったな〜と思って見ると、

「もわあ。もわわあ」

 口を大きく開けて、自分の唾液でシャボン玉を作るように泡を作り出そうとしております。いや、それ、それ以上大きく膨らまないし、飛ばないけどな。と思いつつ、面白いので見守っていた母でした。


 それと、もう一つ静かになるとしたら、あれですね。


 そうです。寝てしまった時です。

 怪獣さんは、いきなり充電が切れます。どこででも転がっているので、探すのが大変。ある時などは、走っている途中で充電切れたらしく、たたんで重ねてあった布団の山に横から刺さってました。

「……」

 そんな漫画みたいな寝方するやついる? てか、お前、死ぬぞ?

 と、刺さってるやつ引き抜いて、布団敷いて寝かせましたが、嘘かと思ったのにホントに寝てて、びっくりでした。


 この「ずーーーっと喋ってたのに、急に静かになったと思ったら寝てる」っていうのは、高校生怪獣になっても続いておりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る