第11話 プリンスとカリキュレーター

 家には、伝言板として使っている小さなホワイトボードがありました。買い忘れると困るものや、書類の提出日などを書いておりました。


 ある日、そのホワイトボードを見ると、怪獣さんの文字。


「プリンスありません」


プリンス??いや、意味不明なことを書かないでほしいのだが……。


 ……待てよ? プリンス=王子。もしや王子というのは、玉子なのでは??

 と思い、冷蔵庫チェック。確かに玉子はありませんでした。


 怪獣さん、惜しかったです。



 小学校一年生から通い始めた英会話教室。ネイティブから発音を教えてもらうこともあり、私はわかるけど、他の家族はわからないこと度々。


休みの日の午前6時に母に起こされて、

「怪獣がなんか探してるんだけど、何さがしてるかさっぱりわからん!」

と言われる。

「何て言ってるの?」

「カリ……なんちゃら、英語よ、わかるわけないでしょ!」

もー、仕方ないなぁ。起きて、怪獣さんのもとへ。


「何探してるって?」

「calculator」

カリキュレーターな。無駄に発音がいいけど……

「何で朝っぱらから『電卓』探さないといかんのかね、キミは??」


 ただただ、覚えたばかりのことを使いたい! という、子供にありがちな行動でした。お騒がせいたしました。

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