第9話 恐怖のバレンタイン

 4歳からは、私の実家暮らしが始まりました。(訳あって元夫とは別居いたしました)。


 バレンタインデーには、私の父と弟が仕事関係の人から貰った高級チョコレートが山積み。しかも、父も弟も食べないと言う。子供達には、高いし勿体無いし、毎日、ちょっとずつおやつにするか。と、母と相談し、ひとまず冷蔵庫へ。


 翌日。おやつに1つ2つ食べさせようと思い、冷蔵庫を開けると、チョコレートがない。全部、ない。私の記憶が確かならば8箱はあった各有名メーカーの、一粒チョコやらトリュフやらの高級チョコが……。


 あー、そうか、子供に見つかって、勝手にいっぺんに食べられないように、私の母が隠したに違いない。


 すぐ、そう思って、母に電話。

「チョコってどこ隠した?」

「へ?」

「冷蔵庫の中のチョコ、怪獣に見つからないように隠したんでしょ?」

「いや?触ってないよ?」

「……」


 電話切って、ゴミ箱の蓋バーンとオープン。大量の包装紙と箱。


 ……そして洗面所から鼻血流しながら歩いてくる怪獣一匹…。


 全部? まさかの全部なの? 全部で1万円は超えようかという量を、お前は一気にオール食いしたの? いや金額でなくて、量!!


 そりゃ、わかりやすく鼻血も出るわな。


 体を壊すのではないかと、そっちの方が心配でしたが、鼻血止まったら、いつもの元気で走ってました。


 教訓。食べられたくないものは、見せることなく隠そう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る